あの部屋へといざなわれた犠牲者……と言ってしまうが、顔を確認できたのなら、野々野足軽の力ならその身元を割り出す……なんてのは簡単だ。だからとりあえず部屋にいる女性の事は放置することにした。もしもまだ来たばかりなら、まだ仮面の男に食われてなくて、さっさと悪魔の洗脳を解いてやるつもだったが、悪魔っ子と天使っ子の話的には彼女たちはすでに数日は通ってるらしい。ならもういくら抱かれても同じ……と言うのはさすがに失礼かもしれないが今、下手に洗脳を解いたらどうなるかわからないから保留することにした。
もしも絶望から、包丁とか持ち出したりしたら大変だからだ。なにせあの女性たちは別に本気で仮面の男の事を好きな訳じゃない。ただ悪魔によってその心を捻じ曲げられているから、仮面の男へとメロメロな状態へとなってるんだ。だからこそ、今この現場を直視したらどうなるのか……野々野足軽には想像できない。
(助けるにしても、ちゃんと指針を付けてからじゃないと……」
そう考えてる野々野足軽は、だからこそ彼女たちはいったん放置して、とりあえずあのアパートから近い場所を手当たりしだいに見て見る。けどいない。すると……
「私達ならわかるかもしれないです」
「ああ、俺達ならきっと分かる!」
そう言ってくれる天使っ子と悪魔っ子。確かに……と野々野足軽は思った。なにせ二人は元は悪魔だ。その力を奪い、確保して、そして野々野足軽の力とまぜまぜこねこねとこねくり回した結果、なんか新たな存在として二人が誕生した。だからいうなれば天使っ子と悪魔っ子にからしたら、野々野足軽はお父さんである。なら母親は誰か……そうなると悪魔ということになってしまう。
そんなのは絶対に認めたくない野々野足軽だ。けど対外的に見たらそうなるだろう。それに二人の力を合わせて生まれたのが二人ということにもかわりはない。でもよくよく考えてもわからないことが一つだけ野々野足軽にはあった。
(悪魔っ子はわかるが……なんで天使が?)
ということである。なにせ悪魔から切り離した力を勝手に使ったから悪魔っ子が生まれるのはまだ自然だし理解できるだろう。けど、悪魔の力を使ったが、一欠片だって天使の力なんてなかった。影も形も……だ。なのに、天使っ子は生まれた。
いやもちろん、本当の天使ではないと思う。そもそも本当の天使……成る存在がいるのか? という疑問もあるが、けど悪魔が居たのである。それらな「天使」という存在が絶対に居ないなんて言えない。
なにせ野々野足軽はドラゴンとだってあったのだ。なら本物の天使もいるかもしれない。とりあえず……
「よし、ふたりとも頼むぞ」
「はい!
「おう!」
二人の可愛らしい返事に野々野足軽は満足してる。