「一体……いつからだったでしょう……いつから……観た夢だったのでしょう……」
そんなつぶやきが出てた。それに答える者はいない。そんなのはわかってる。彼? いや彼女? は抱えてたものを取り出そうと幾重もの腕を解いていく。まずは細く長く、骨ばった手……その手の先からも腕が出てて……そんな長い長い手をほどいた。3つや4つの腕が連なってるようなそれは背中やら首やらからも伸びてた。さらに二連のくらいの腕は肩や脇腹あたりからはえてた。そしてもっと中心にちかい一つだけの腕がひらく。
そして最後にその中心のものをなんとか支えようとしてるのは本当に小さい……そしていままでの手とは違ってふくよかな肉がみえてる赤ん坊の様な手だった。
「我らの聖典……神の啓示を示した書『シャラスド』。その原典を今、我らの血によって開放しよう」
すべての手を開き、後生大事に抱えてたその本『シャラスド』が光出す。三賢人のリーダー格のその人物の懐から放たれたシャラスドはゆっくりと前に進み、そしてか彼らの頭上へといく。そして一筋のひかりが本に走り、その本は開いた。内側は光がまぶして見ることはできない。
でもその瞬間……この世界にいきる、この世界の人々にはその内容が頭に入ってきた。G-01はこの世界に息づいてないし、私自身もこの世界の人間ではない。けど、その内容が私にも伝わってくる。
きっと深くこの世界を知ったからだろう。むしろ……だ。この世界の人達よりも、私はもう、この世界の姿をよく知ってる。だからこそこの本『シャラスド』も気を利かせてくれた……のかもしれない。
(いや、本当はただ単に私が盗み聞いてるだけだけどね)
それは間違いない。私は今、世界の解析してる。だからこそ、この世界にとって重要なことは私にもわかるのだ。シャラスドは皆にこう伝えてきてた。
『戦え……そして楽園を目指すのだ』
なんとまあ単純明快なことだ。けどこれが教義になってるんだから、ある意味で教会は神の教えに単純に従ってるってことなんだろう。これだけを胸に……行動してきた結果がいまだ。
皆で楽園を目指す事をしたら、違ったかもしれない。もしかしたら最初はこの言葉を皆に伝えて、皆で楽園を目指そうしてたのかもしれない。でもいつしか……教会は傲慢になった。
自分たちだけが楽園への切符を得てるのだと勘違いした。神はきっとその言葉を皆に伝えたはずなのに……
「儂らも捧げるときがきた」
「ああ……長かった。この時まで……本当に……」
「行きましょう。楽園に……」
そう言って三人は紡いだ。『捧げる』――とすると彼らの姿は砂になる。その場に残ったのは彼らの衣服のみだった。