uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 949

「貴様たちの役目を忘れるな」

「役目じゃと?」

「そうだ。貴様たちは楽園へと続くための贄になるためにいる。それは貴様たちの意思ではないとかいうつもりか? それは違う。この世界の誰もが神に使命を与えられている。

 それが楽園へと至ることだ。そのために、民衆が贄となるのは神も認めておられる」

「儂等は最初から死ぬために生きてたと、そういうことか?」

「我々は幸福だ。なにせそれを知らずに行く代もの者達は死んでいった。それはただの絶望でしかなかっただろう。だが、貴様たちは違う。楽園はすぐそこにある。我らのすべての民の悲願が叶うのだ。

 なのになぜ……何故に貴様たちは反抗をする? いや、反抗することが出来る? その生命を捧げる事こそが、幸福だというのに」

 

 それはまっさきにつっこんでいって、周囲の教会の奴ら、そして聖騎士を無視して駆け抜けた先に、一番でっかい聖騎士へと切りかかった二人のやり取りである。勿論だけど、そこまでただ見てただけだったわけじゃない。敵である教会側はジャル爺を止めようと何かやろうとしてた。近づくまではジャル爺に集中砲火だってしてた。なにせ途中からはジャル爺は一人突出してたからだ。もしも当たらなくても、後ろの奴らに当たればいいか……くらいの心持ちだったのだろう。けどそれが仇になった。

 誰かが当てるだろう――とか思う攻撃に当たるほどにジャル爺は甘くなかった。遠距離攻撃は全て避けきった。そこらにいた教会の奴らを踏み台にして、一気に跳躍して、空中に陣取ってる聖騎士たちを目指した。けど聖騎士達は剣を扱う。遠距離攻撃だけではない。

 向かってくるジャル爺を迎え撃とうと聖騎士達は剣を構えてた。けど、それら全てをかいくぐってジャル爺は一番でかい聖騎士へとたどり着いた。そこで二人は激しい攻防を繰り広げた。そして互いに思っただろう

 

「「強い!!」」

 

 ――と。そしての会話だ。これには到底ジャル爺は受け入れることなんてできない。だって勝手に幸福とか自身の命の使い方を決められてるんだ。そんなのは尊厳の踏み躙りだろう。それに……だ。ジャル爺もそうだが、この世界の地上に生きる人達は誰も楽園の話しなんてしらない。

 せいぜいおとぎ話の中だけの話だと思ってた。そこに夢はみても現実には見てなかった。だから地上の人達はこの過酷な世界でもどうにかして必死に生きてきたんだ。

 でも教会にいたコイツラは違う。いつだってこの地上を忌み嫌って、ずっと楽園に憧れをもってた。だからこそ、きっとコイツラは地上の民を人となんて認識しなかったんだろう。

 夢を見続けてるやつと、現実のなかで幸福を追い求めてた人々の違い。そこには相容れる要素はないみたいだった。