uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 743

「このまま切り裂いてもいいけど――それよりも!!」

 

 私はそう言ってうまくビームサーベルの出力を調整して、スパッといかないようにしたよ。どうしてそんな事をするのかって? それは……ね!! 

 

「ふん!!」

 

 私は差し込んだビームサーベルで僅かに鬼の腕が振り回してる棒の勢いを調整したのだ。完全に止めるってのは難しい。それはG-01の力……腕力でも、あの巨大な腕の力を抑えるのは厳しいからだ。それに回転によって勢いだって付いてるしね。

 でも……あの鬼の腕は、棒の直線上にあって、そして更にその腕がうまく棒を回して、互いに当たらないようにしてた。めっちゃデカくて長い棒である。いや、そもそもが長さは自由自在、太さだって変えられるだろうそれを、別にそのままあの腕は振り回してる。

 だからそのリズムをちょっとでも崩してやれば……ほらね。

 鬼が振り回してた棒が、タイミングが僅かにズレたことで互いにぶつかりあった。それによって大きな隙きが生まれる……と思った。

 

「ん?」

 

 なんかめっちゃコクピット内に警報がなりだした。まさにけたたましい――と言えるほどのそれに嫌な予感を覚える。

 

「くっ、形状変化! バルス散布!!」

 

 私はそう言ってまずは持ってたビームサーベルのビームの形状を変化させた。なにせ刀身部分はエネルギー体なのだ。ある程度の自由は効く。なのでサーベルだったのを盾のように自身の前に広げた。更には全身の穴から白い蒸気を噴出。まあ蒸気ではないけどね。ナノデバイスだ。

 これによって色々と通信妨害とか、姿を隠すとか、エネルギーの拡散とか、まあ色々と出来るナノデバイスを散布してる。なにせ警報がこれまで無いくらい……それこそこれは空獣と相対した時以来かもしれない。

 なので過剰なくらいの安全策をとる。ぶつかりあった棒はガキィィィィとか言って弾けるんだと思ったけど、どうやら物体として弾けそうじゃない。そういうことじゃない。なんか弾ける=爆発する――みたいな事になりそうだ。

 なんで? とおもうけど、そもそもが今回はなんでそうなる? って事が起こりまくってる。つまりは想定はなんてのは軽く超えてくる日なんだ。そんな事を思いながら、棒が核よりすごい爆発を起こす。

ある日、超能力に目覚めた件 106P

「ええーと、あれは……そうですね。なんか大きかったですけど、でも暗かったし、顔までは……」

「そうだよね。いや、そうだ!」

 

 そう言って山田奏は自身が落としたスマホを探した。そして地面に落ちてるのをみつける。どうやらスマホを取られる……とかはなかったらしい。

 

(やっぱり狙いは俺自身?)

 

 そう山田奏は思った。なにせ最近はスマホで何でも出来るのだ。それこそ、今回だって山田奏はスマホ以外は何も持ってきてない。もうスマホ決済も定番化してる世の中である。スマホひとつあれば、なんでも買える時代だ。もしもあの大男がただの通りすがりなら、お金とかを目的にしてた筈だ。

 それなら今の時代、狙いは財布ではない。スマホだ。そしてそんな個人情報とお金が詰まったスマホがわかりやすい所に落ちてたんだ。もしも何も山田奏を知らないようなただの通りすがりの通り魔とかなら、ラッキーとか思ってそれを持っていっておかしくない。

 人が来て慌ててたかも知れないが、でも目の前にあるのだ。もしもこれが山田奏のポケットの中とかにあったままだと、ゴソゴソとやる時間もなかった……と考えることが出来る。

 けどそこに落ちてた。気づかなかったとは思わない。となると……山田奏は自身を襲ってきた人物はただの通り魔とかではなく、明確に自分自身を襲ってきたのでは? と分析する。

 とりあえず下手にそういう事を下級生に教えては野乃野足軽も危険に晒すかもしれない……と思ってそれは飲み込んだ。それはおいておいて、画面を表示させる……いや、させようとした。けど……

 

「まじかよ……」

 

 思わずそう唸った。なぜなら、スマホの画面がバキバキになってたのだ。電源もつかない。これは落ちたときに、なったのだろうか? とか山田奏は考えた。それとも、犯人がわざわざ踏んで壊していったとか? 実際、最近のスマホは頑丈で落としたくらいでは壊れるなんてことはそうそうない。

 けど早々ないってだけで、絶対にない……なんてことはない。落とした時のうちどころでは一発でアウトってことは友達が多い山田奏はそんな悲劇は結構聞いてる。だからこれはどっちかわかんない。

 けど確実に言えるのは……

 

「ごめん、これじゃあダメだね。写真撮ってたんだけど……いや、クラウドにはあるか。明日ショップにいって保険で新しいのに変えてみるよ。それで犯人がわかるかもしれない」

「心当たりがあるんですか?」

 

 野乃野足軽はどれだけ山田奏が気づいてるのか……それが気になってそういった。

 

「いや、心当たりってほどでもないよ。もしかしたらってだけさ。そうだ、これ」

 

 そう言って山田奏はコンビニの袋からおつまみ類を出した。あたりめとか枝豆とかだ。

 

「先輩これ……」

「いやいや、飲まないから。酒とか飲んでないから」

 

 あまりのおつまみ感に思わず疑わしそうな顔で野乃野足軽は言ったんだろう。それに対して山田奏はハッとして、必死に否定してた。そんなこんなで、山田奏とも連絡先を交換して、二人は別れた。とりあえずおつまみは全部野乃野足軽に押し付けて山田奏は帰っていった。

 そしてそれを食べながらアースが「なかなかですね」とか言ってた。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 742

 腕になった鬼が暴れまくってる。2つの棒をくるくる回して迫ってきて、まさに竜巻のよう……それにその腕自体がついてるのが棒なのだ。その軸も回ってるからね。もうぐーるぐるだよ。目が回る

 そしてどんどん勢いがついていくっていうね。一応ずっと分析してる。でもどうやらあの勢い……終わりがない。そもそもが多分だけど、この宵という空間は大気とかない。まあだから勢いってやつも幻想と言うか……自己の力だけで回ってるんだけど、あれは鬼。そこらの物理法則なんて軽く無視してる。そして際限なくその回転……勢いを増していったらどうなるのか……

 

「どうなるのかはよく変わんないけど、まずいのは変わんないんだよね」

 

 というわけで、なんとしても一回リセットする必要がある。

 

「いくよ、感覚拡張」

 

 そう言ったら後方から何かが刺される。チクッとね。首筋から何かが流れ込んでくると、鼓動が早くなる。そして視界がゆっくりになった。別にモニターがスローを流してるわけじゃない。これは感覚拡張で私の体感時間が伸びてる影響だ。

 薬品による感覚の拡張なんて大丈夫なのかって思うけど、説明によれば大量摂取しなければ大丈夫ってことだった。けどそれって何にでも言えるよね。だってなんでも過剰摂取すれば大抵は毒になるし。

 とりあえず感覚を拡張して体感時間を伸ばすことで、奴の回転を捉えやすくする。そしてG-01の機能で予測、そしてその運動性能を使って、見極めるのは一番弾きやすいタイミングだ。

 G-01のメイン武器って勇者と魔王が合体しての剣だったわけだけど、既に魔王がいないから、新しい武器が必要だった。一応アイと勇者でも同じことは出来る。同じものになるわけじゃないけどね。

 けどそれも無理なら、徒手空拳で戦うしか無いって不便だよねってことで、一応その対策をしてる。いや、ちっちゃなナイフなら標準装備であるけどね。それは太もものところから出せる。それが標準だったわけだ。でもそれも私は更新してる。

 私は外側の太股部分から拳よりもちょっと長い棒を出す。それを2つ。そしてG-01がそれを手に取ると、手のひらとリンクして、機能が発動する。すると青い光を放つ高出力レーザーが刀身を形成した。そう、ビームサーベルである。なんとこの装備がアップグレードしてたらあったから、こっちにしたんだよね。

 私は2つのビームサーベルを構えて、回転してる鬼だった奴の隙間にそのビームサーベルを差し込んだ。そしてうまく回転に合わせて動かして棒にビームサーベルの刀身を食い込ませる。

ある日、超能力に目覚めた件 105P

「だいじょうぶですか?」

「君は……」

 

 山田奏は遊具の中で揺られて目覚めた。そして目の前には見覚えがない少年がいる。そんなに自分と年が変わらなそうな……そんな少年だ。そして頭がはっきりしてきたら、さっきの光景が思い出されてガバッとおきた。

 

「大男は!? 僕は生きてるのか?」

「大男……ですか?」

 

 彼……野乃野足軽は困ったようにそういった。なんか目が泳いでるが……山田奏はそんな事には気付いてない。

 

「ああ……恐ろしいやつなんだ……フードを目深に被ってて……目がギラッとしてた……それにその手はすごく大きくて……顔よりもデカかったかもしれない」

「そういえば、自分が近づいたらそんな人が去っていったかもしれない……ですね。警察に連絡しときます?」

「そうなのか……ありがとう。君は命の恩人だよ」

「あはは……そんな大げさですよ」

「いや、あの殺気は僕を殺そうとしてた」

「いやいや、流石に……」

 

 それはない……と言いたいが野乃野足軽ももしかしたら……とかは思ってた。

 

「そういえばまだ名乗ってなかったね。僕は山田奏。君は……」

「僕は野乃野足軽ですよ先輩。先輩は有名なので知ってます」

「有名なんてそんな……先輩と呼ぶということは君は後輩なのかな?」

 

 落ち着いてきたのか、山田奏は恐怖もなくなって震えも止まってきてた。そして誰かがいる……それが仮にも全然知らない相手でも、野乃野足軽は誰が見ても人畜無害そうな平凡な見た目をしてる。

 それが功を奏したのか、山田奏は完全に野乃野足軽を味方だと思ってるようだ。

 

「はい。自分は一年です」

「そうか……じゃあ後輩に情けない姿を見せてしまったね」

 

 そう言って笑う山田奏はそれでもイケメンだった。それに汗のせいだろうか、時々、服を引っ張って風を取り込もうとするような動作の度になんかいい匂いがする。男なのに……イケメンはどうやらいい匂いがするものだと思って、なんか劣等感を抱く野乃野足軽だった。

 

(やっぱりあのままやらせとけばよかったかな?)

 

 とかちょっと思ってる。

 

「いえいえ、あれは仕方ないかと……それよりも警察はどうしますか?」

「そうだね……この程度じゃきっと取り合ってくれないさ。これから気をつけるようにする。それに……あれは……君も見たんだよね? それならあの大男に心当たりないかな?」

「え?」

 

 ギクッとする野乃野足軽。だって野乃野足軽はあいつ……桶狭間忠国を監視しててこの状況をしったのだ。だからあの大男は桶狭間忠国であると知ってる。けど……言って良いものか……でもこの様子だと山田奏は犯人の予想はしてる。

 どうするべきかなかなかに判断に迷う状況だった。流石に殺す……なんて野乃野足軽は思ってなかったが、手を出すのはまずいと思って桶狭間忠国の邪魔をしにきたわけだ。その目的は果たした……けどもしもこれが繰り返されるとなかなかに面倒でもある……と考える。

 それなら一回警察に相談してる……という事実を山田奏につくってもらってそれをそれとなく桶狭間忠国に伝えれば抑止力になるかもしれないと考える。暴力に訴えかけるってのは流石に違う――と野乃野足軽は考えるてるのだ。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 741

 棒を引っ張り合ってた鬼たち。そんな事をしてると、なんか不思議な事が起こった。普通そんな事をしたらどっちか力の強いほうが勝と言うか、引っ張って相手の手から奪うとかなると思う。

 けど鬼だからね。鬼は同じ金型から作られてるような、コピー品だと私は思ってる。だから個性なんてない。つまりは違いはないのだ。だからこの二体の鬼……同じ力を持ってるはずだ。となると……まあいつまでも決着なんてのはつかない。

 だって同じ力なんだから。でも鬼はなんか互いにその棒に力を注いでるように見える。するとなんということでしょう……なんか棒から腕が生えた。

 

はえ?」

 

 マヌケな声が出てしまった。いや、でもこれは出るでしょう。それに……だ。その腕が両端にいる鬼をつかむ。そしてパァン!! と二体の鬼を押して、棒とともに押しつぶした。そしてパァンとしたその手は潰れた鬼をこねこねしてる……ように見える。もしかしたら汚れを落としてるだけなのかもしれないが……まあそれなら拭く所無いからね。

 汚れは落とせない。そんな事を思ってると、なんか腕から棒が出てきた。

 

「どういう事?」

 

 ついついそんな声が出る。だって意味分かんない。今の鬼の状態? を端的に説明すると、鬼が持ってた棒から腕が生えて、それで鬼が潰されたから、今度は棒の先の腕から棒が生えてきた――というね。なんかややこしい。いや見たら一発だが……棒の両端に二本のたくましい腕が生えていて、その腕が更に二本の太い棒を持ってるのだ。既にあれは鬼なのかどうか? 角はなくなってる。

 最大の特徴であり、そして力の源だったはずの角がなくなったら、あれはもう鬼ではない? でも……そのエネルギーはなんか跳ね上がってるように見える。手と棒から膨大なエネルギーを感じる。

 

「つっ!」

 

 くるくると棒を回す腕。さっきまで大きな鬼が両手で抱え込むように持ってた棒。それを軽々と片手で棒から発生してる腕は持ってる。つまりその腕は鬼よりもデカいってことね。だからこそあんな軽々と棒を振り回すことが出来る。

 

「ちょっ!? これは反則……」

 

 私は逃げに徹するよ。だってめっちゃ巨大な棒がブンブン振り回されながら迫ってくるんだよ? はっきり行って、こんなの一発でも当たったらG-01とて危うい。絶対にあたることは出来ない。けどわかってる。逃げてるだけじゃ、追い詰められるだけだ。どうにかしないと。

 

「藪をつついて蛇が出ちゃった感じだね……でもなんでこのタイミングで?」

 

 こんなのことができるなら、私が鬼を狩ってる時にだって出してもおかしくなくない? なぜに今って疑問があるよ。やっぱりネナンちゃんがいるからなのだろうか? それってつまりは私よりもこの世界はネナンちゃんを警戒してるってことなのだろうか? それはとても興味深いと思う。言っとくけど嫉妬とか、悔しいとかじゃないから。

ある日、超能力に目覚めた件 104P

パシャリ――

 

 とシャッターを山田奏は切った。その際、勿論だけどシャッター音は消してるし、フラッシュだって消していた。スマホは完全に使いこなしてる今どきの若者だ。最近のスマホの画質はすごい。暗くてもちゃんとキレイに……は流石に街頭一つではならないが、ちゃんと見える写真にはなってる。

 けど流石に目深にフードを被ってるから、その奥まではみえない。けどここからだ。たしかに見えないが、スマホを使いこなしてる現代っ子の山田奏はそこから画像補正できるソフトを立ち上げる。そして写真を調整しだす。

 明るさを上げたりして、フードの奥の顔を確かめようと山田奏は努力する。一つのソフトでやり過ぎると画質として破綻してしまったときは、更にそれを復元出来るアプリを使って……更に解像度を足すなんて事が出来る様なアプリを更に使って復元、補正を繰り返すと、徐々にその顔が現れていく。

 

(あと少し、一回で……)

 

 そう思って山田奏は画面に夢中になってた。画像処理をやってるシークバーを見つめててた時、ダン!! と遊具が叩かれたような音がした。

 

「ひっ――つ」

 

 一瞬声を出しそうになった山田奏はなんとか紙一重でその声を無理矢理飲み込んだ。そして自分の心臓が早鐘のように鳴り響いてるのを全身で感じた。

 

(バレた?)

 

 そう思った山田奏。汗が……嫌な汗が背中を流れる感覚がある。

 

(無理だ……これ以上……こんな状況……助けを……)

 

 そう思って山田奏はスマホをみる。そしてどこに電話をかけるのかというと……それはこんなときには友達とかそんな知り合いではない。だって今、山田奏を追いかけてる人物がどんなやつなのかわかんないのだ。危険がある……なら……警察しかなかった。

 スマホは緊急事態のときにすぐに緊急通報が出来るようになってる。それを山田奏は覚えてたみたいだ。その為に電源ボタン連続で三回押す必要がある。でもそんなのは簡単だ。親指にちょっと力を入れるだけ。それを三回……それに手が震えてるから、実際もう押してるかもしれない。

 それならありがたかった。でも再びダン!! という音に驚いて、スマホを落としてしまった。カツンと遊具の床に落ちた音が響く。もしかしたらとっくに位置はバレてたのかもしれないが、それでもこれで山田奏は完全にバレたと思った。

 そしてそれはその通りだった。さっきまではここに近づいてたが、わざわざこの遊具を覗き込む……ようなことしてなかった。けど遊具の穴から足がみえて、体が見えた。そして大きな手が見える。なぜかその手には手袋が……いや軍手がしてあった。まるで指紋を残しておきたくないような……

 なにせ今の時期は夜でも冷えてなんて無い。心臓が飛び出そうなほどに鼓動を刻んでる。そして屈んだ体からそのフードに包まれた頭が見えた。そして顔を上げたその奥にはやけに光ってるような目が見えた。

 その瞬間、山田奏は何かを叫んで記憶を失ったんだ。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 740

「むう……」

 

 私は叩き込んだ拳に不満を覚えるよ。なにせさっきは顎をくだけたのに、今回はそんなことにはならなかった。どうやら鬼が纏った黒いスーツというかタイツ的なその服はなかなかに防御性能が高いらしい。こっちの攻撃の衝撃がなんか一気に無くなったような? 

 不思議な感覚だった。当たってはいるけど、何か違う。届いてない? あの黒い服と、鬼の実態の間に途方もない差があるような。それこそ薄さで行ったらほんの数ミリなのかもしれないのに、それだけの薄さでG-01の攻撃の衝撃を完全になくしてるというのは驚異的だ。

 そんな事を思ってると、持ってた棒を闇雲に振り回して暴れまわる鬼。棒を持ってるおかげで、その鬼はとても大振りだ。なにせ鬼が両手で抱えないといけないほどの太さのある棒である。

 それは大振りするしか無いだろう。てかなんでそんな太くしちゃったのか……まあ此方的には都合がいいから、それを使い続けてほしいくらいまである。とりあえずあの黒い服を通しても鬼にダメージを与える必要がある。

 そもそもここで鬼の相手をしてる暇なんてない。明側には黄金の鬼がいるんだ。勇者は強いが、鬼に対してはどこまで通用するのかなんて未知数だ。勇者がやられたら、それこそあの世界は鬼に蹂躙されてしまうだろう。

 ならこんな奴ら無視して戻るのが一番なのかもしれないが……気がかりを残してるのは……気持ちがわるい。なのでこいつらがなぜにこんなにネナンちゃんを求めたのか……それだけは解明しておきたい。けど問題は鬼は別に喋れないってことだよね。

 

「そ! や! ほ! ていやあああああああああああ!!」

 

 私はコクピット内でそんな声を上げていた。まあ今は完全シンクロ、つまりはシンクロ率100%なわけではない。前はそれこそ鬼と戦う……となればこっちだって危ないんだから、もちろんシンクロ率100%だった。けどそこそこアップグレードもして、そして鬼のデータはかなりある。画面には実は次の鬼の行動予測さえ出てるのだ。 

 なので私の普段のG-01の操縦技術を磨くためにも、今は普段のシンクロ率で戦ってる。いざとなれば100%でいくけど、あれは私の感覚をそのままに、まるで自分の肉体のようにG-01を操れるってことだからね。

 別にシンクロ率100%は運動性能が上がる……とかでない。直感的な操作になるだけだ。それは実際メリットはたくさんあるが、デメリットがないわけでもない。シンクロ率100%は完璧にシンクロしてる分、ダメージを受けると私の体にもそのダメージが帰ってきたりするし……そもそもが負荷がかかってる。

 それは頭にも、体にも……だ。だから操縦技術を磨いて本当の本当にいざという時以外は使わなくなれば、それはそれはいい。てか、寧ろ理想はちょくちょく切り替える……とか出来たら、もっとG-01を操れる幅が広がりそうな気がする。

 そんな事を言いつつ、私は避けては攻撃してを繰り替えして、どうにかこうにか、新たな行動を取った鬼のデータをG-01に蓄積していく。でもそんな風にしてたらもう一体が復活してきた。

 まあ顎砕いただけだったしね。角を折らないと行けなかったからしょうがない。すると復活してきた鬼はなにやらもう一体が振り回してた棒をつかんだ。何だ? その玩具、こっちにも使わせろ! とか言ってる? 

 なんかそんな光景にみえる。二体の鬼がなにやら言い合ってるような……いや声とか出してないけどね。なんか棒を引っ張り合ってる。