腕になった鬼が暴れまくってる。2つの棒をくるくる回して迫ってきて、まさに竜巻のよう……それにその腕自体がついてるのが棒なのだ。その軸も回ってるからね。もうぐーるぐるだよ。目が回る
そしてどんどん勢いがついていくっていうね。一応ずっと分析してる。でもどうやらあの勢い……終わりがない。そもそもが多分だけど、この宵という空間は大気とかない。まあだから勢いってやつも幻想と言うか……自己の力だけで回ってるんだけど、あれは鬼。そこらの物理法則なんて軽く無視してる。そして際限なくその回転……勢いを増していったらどうなるのか……
「どうなるのかはよく変わんないけど、まずいのは変わんないんだよね」
というわけで、なんとしても一回リセットする必要がある。
「いくよ、感覚拡張」
そう言ったら後方から何かが刺される。チクッとね。首筋から何かが流れ込んでくると、鼓動が早くなる。そして視界がゆっくりになった。別にモニターがスローを流してるわけじゃない。これは感覚拡張で私の体感時間が伸びてる影響だ。
薬品による感覚の拡張なんて大丈夫なのかって思うけど、説明によれば大量摂取しなければ大丈夫ってことだった。けどそれって何にでも言えるよね。だってなんでも過剰摂取すれば大抵は毒になるし。
とりあえず感覚を拡張して体感時間を伸ばすことで、奴の回転を捉えやすくする。そしてG-01の機能で予測、そしてその運動性能を使って、見極めるのは一番弾きやすいタイミングだ。
G-01のメイン武器って勇者と魔王が合体しての剣だったわけだけど、既に魔王がいないから、新しい武器が必要だった。一応アイと勇者でも同じことは出来る。同じものになるわけじゃないけどね。
けどそれも無理なら、徒手空拳で戦うしか無いって不便だよねってことで、一応その対策をしてる。いや、ちっちゃなナイフなら標準装備であるけどね。それは太もものところから出せる。それが標準だったわけだ。でもそれも私は更新してる。
私は外側の太股部分から拳よりもちょっと長い棒を出す。それを2つ。そしてG-01がそれを手に取ると、手のひらとリンクして、機能が発動する。すると青い光を放つ高出力レーザーが刀身を形成した。そう、ビームサーベルである。なんとこの装備がアップグレードしてたらあったから、こっちにしたんだよね。
私は2つのビームサーベルを構えて、回転してる鬼だった奴の隙間にそのビームサーベルを差し込んだ。そしてうまく回転に合わせて動かして棒にビームサーベルの刀身を食い込ませる。