uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力に目覚めた件 103P

「はあはあはあ……なんだあれ?」

 

 あれは本当に人間だったのだろうか? 公園の遊具のなかに隠れてる山田奏はそんな事を思っていた。ただちょっとコンビニに行って帰ってくるだけだったのに……なんでこんなことになってしまったのか。

 

「誰かに恨まれた……うう、心当たりがありすぎる」

 

 助けを求めたいが、下手に山田奏が助けを求めると周囲が騒ぎ立てて、大事になるかもしれない。だから下手にSNSに書き込む……とかやめた。なら親しい人たちだけに……となるが、山田奏は気遣いの人なのだ。こんな夜に……とか思ってしまう。誰とでも仲良くしてる山田奏はみんなに平等だった。誰か一人と突出して仲がいい……とかはない。誰とでもバランスよく、平均的に付き合うって事を意識してる。

 もちろん、そんなのは実際は不可能だ。だからこそ、山田奏は自身の中でグループを作ってる。知り合いやクラスメイト、仲が良いグループに、そこそこのグループ。そのグループごとに平均で付き合うのだ。

 だから実際は仲の良いグループが一番仲が良いのは確かだ。でもだからってそこでも絶対に突出はしない。それは山田奏が決めた覚悟……みたいな物だった。

 

「あの大きさ……人間なら話題になってた一年か?」

 

 さっきのなにやら黒くてデカい奴を人間と仮定するなら……そして山田奏自身に恨みを持ちそうな大男ともなると、自然と絞られてくる。実際今の世の中、大きくてガタイの良い男性なんてのはそこら中に溢れててもおかしくなんて無い。

 けど、それが身近に……さらには知り合いにいるとなる話は違ってくる。

 

「でもそもそも知り合いなのかはわかんないか……でもあの感覚」

 

 山田奏はさっきの恐れ慄く様な感覚を思い出す。もしもさっきのがただの通りすがりなら、あんな感情……殺気をぶつけてくるだろうか? と山田奏は考える。どう考えてもあれは恨みとか……そんなのだった。向けられた明確な殺気……そんな時、道路の方に大きな人影が見えた。生け垣よりも高いその人影は、フードを目深に被ってるから顔は見えない。けどおかしい……何がおかしいかって? 今は人通りもなく、ここはちょっと路地に入ってるから車通りも少ない。それに夜だし、静かなものだ。

 普通人が通ると足音とか、するだろう。あれだけ大きな人間ならなおさらだ。けどそいつは無音だった。無音なのに普通に歩いてるようにみえる。

 

(探してるのか?)

 

 山田奏は息を押し殺す。こっちに来るな……と思いながらも、なんとかその正体をつかめないか……と遊具から顔を出して見ようとする。けど暗くてよくみえない。でも山田奏はスマホを持ってることに気づいた。

 最近のスマホは夜でも良く撮れるようにナイトモードとかついてる。それを使えば……とか思った。シャッター音は予め消しておいて、カメラの部分だけを出して、シャッターチャンスを伺う。

ある日、超能力に目覚めた件 102P

 彼の名前は「山田奏(やまだ そう)」後輩からは山田先輩と呼ばれ、同学年の親しい人たちはからはソウとかソウ君と呼ばれてる。まあ普通だ。彼の特徴はイケメンであることだ。身長は百八十くらいあって、長身で足も長く、そして鍛えた体をしてる。髪はふわっとした自然系な髪型で毎日学校に行く前にはこだわってセットをしてる。

 それに美意識も高くて、毎日肌のケアを欠かしてない。なにせ彼は自分のイメージが爽やかイケメンである……と自覚してる。だからそれを崩さないように努力をしてるのだ。そして常に現代の若者らしくSNSをチェックしてる。けどそれは彼が承認欲求が高いとかではない。

 寧ろ山田奏自身は全然SNSをやらない。付き合い程度にやってるだけで、発信することはしない。でもこうやって常にSNSをチェックしてるのは、友達が何を見てるのか、何に興味があるのかをチェックしてるからだ。

 それにいま世間では何が流行ってるのかとかも欠かさずにチェックしてる。今やテレビとかが流行りの中心でも発信地でもない。それらはネットに置き換わり、そしてそこで活躍するインフルエンサーとかいう人種によって起こされるようになった。

 更には流行りも細分化してるといっていい。それこそテレビが全盛期の時代はクラス内の会話だって、それぞれのグループに分かれてると言っても、話題自体はテレビのことだった事が多かったはずだろう。

 

「昨日あの番組見た?」

 

 とかいう会話の入は定番だったと思う。でも今や時代は変わって「あの番組見た?」なんてのはもうほとんど使わなくなって久しい。今や「あの人みた?」とか「あのチャンネルの更新が――」とかになってる。

 一つの物を全員で共有するって事がなくなって、誰もが自分が興味を持つものを観るスタイルになってる。それでも一応若者に人気……とかはある。でも全員が見てるかといえばそうじゃない。勿論話題のチャンネルとかインフルエンサーはそこそこチェックしてる人は多いから話題に上がることは多いが、それよりももっと自分が発掘したまだあまり知られてない人を喜々として喋る様な人たちがおおい。

 なのでいち早くそういう情報をSNS仕入れて、動画を見てみて、次の日に教室とかで生の会話とかで出すと、その人からの印象が良くなったり、会話を盛り上げたりとできて、得しか無いと山田奏はわかってた。

 そうやって人徳を積み上げて、イケメンなことも欠かさない……そして勿論勉学だって彼は手を抜いてはいなかった。彼の家は父親が弁護士で母親が資産家の娘であった。つまりは裕福な家庭だ。

 けど彼はそんな家庭環境に甘んじてなんてない。毎日予習と復習をして、宿題は忘れたことなんてない。教師の手伝いは積極的にやって教師からの評判もすこぶるいい……というまさに完璧なイケメンと言ってもいいだろう。

 

 そんな山田奏に人生最大のピンチが訪れていた。それは夜にちょっと小腹が空いて、コンビニまで買い物に出たときだ。目的の物を買って家路を歩いて時。不意に何かが……黒い壁が出てきた。

 けどそれは壁ではなかった。壁のようにデカい人だ。それに壁のように硬い。普通なら「すみません」とかいってそれで終わるだろう。山田奏の爽やかイケメンスマイルは相手をなんとなく穏やかにしてしまう力があったから、これまで揉め事なんてほぼおきたことなんてなかった。

 けど今回は違った。「すみ……」まで口からでたが、それ以上は出なかった。なぜなら、ものすごい恐怖感が山田奏を襲ったからだ。その時初めて山田奏は殺気というものを感じた。

 その瞬間山田奏は完璧なフォームで走り出した。家とは反対側だ。けどそれよりも彼の頭の中はこの何者から逃げないと……という感情でいっぱいだった。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 739

「まさか武器まで持つとはね……」

 

 私は目の前の鬼を見てそう呟いた。いや黒い全身を覆うスーツみたいなのを着た時もなんか違う……と思ったが、更に武器まで……そもそもが鬼は強靭だ。その肉体を傷つけられる存在ってきっとほとんどいないだろう。それだけのエネルギーを持ってるから、もしも傷を追ったとしてもほぼすぐに回復することが出来ると思う。

 腕が無くなったって自己修復出来るしね。そのエネルギーがある限り、鬼が死ぬことはない。だからこそ、鬼を倒すにはあの角を切るしか無い。それ以外では倒せないのが実情だから、その強力な肉体でゴリ押せば、大体はどうにかなってきたんだと思う。

 というか、鬼が戦う相手ってのはそもそもが存在してないが……でもそんな中、私が……というかG-01が現れた。私はこれまでで何体もの鬼を倒して、その角を奪ってる。実際、こいつらは連携とかなくて、気づいたら加勢してくるが、ちょっと離れたら我関せず……みたいなスタイルを鬼たちは取ってて、なかなかに戦いやすい相手だった。

 だからこそ、一対一に持ち込めば倒せる……って常套手段が確立できたわけだ。けど奴らは関心はなくても、対策は取ってきたみたいだ。

そもそもがなんかこの黒いスーツみたいなのは全身をほんと包んでて、スーツというかタイツみたいな感じで完全に全身を覆ってるのだ。首から下……とかではない。顔まで覆ってる。つまりは角も覆ってる。この黒くなったのにどれだけの意味があるのか……それはまだ分かんないが、これがG-01対策なのだとしたら、きっと防御力とかがあがってそうだ。更にそこに武器まで……

 それはつまりはこれまでの鬼との戦闘で培ってきたデータが使えないと言うことだ。鬼には言っとくけど個性がない。きっとエネルギー的にこれでモブとか考えられないが、鬼はきっと金型があって、それにエネルギーを込めて生産してるみたいな感じなんだと思われる。

 だから見た目的には全部一緒だ。明に現れたように黄金とかになってたら区別はできるが、基本全員同じ姿かたちをしてる。そしてそれは寸分違わずである。そのおかげで、どの鬼と戦っててもその腕の長さやらが同じだから、間合いを見極める事が既にできてる。

 でも……武器を持ち出すとなると話しは変わってくる。なにせ間合いが変わるからだ。それに奴は今、なんか棒みたいなのを持ってる。けどそれは実態では勿論無い。つまりはあれって長さなんて見た目的にはなんの意味もないってことだ。

 たぶんね。多分……鬼が馬鹿じゃなかったら、あの今見えてる長さに意味なんてのはない。

 

「とりあえず確かめて見ないとね」

 

 私動き出してまずはまっすぐに走る。ちゃんと向かい打ってくれるように、打ちやすい感じで向かっていく。すると鬼は案の定大きくその棒を振り上げる。そして私に向かって打ち下ろしてくる。

 巨大な棒を両手で持っておろしてくる鬼だけど、それだけか? と思ってしまう。いや、めっちゃデカイ棒を持ってるのに、そのスピードは驚異的ではある。重さなんて感じないくらいだ。実際、鬼的には重くないのかもしれない。そもそも実態ないし。でも重量がないと、攻撃力的には大したことなくなってしまうから、きっとインパクトしたら衝撃が襲ってくるとかあるんだろう。

 まあ当たらないけど。私はG-01の体を捻って、その棒を避けて、そのまま前に出る。とりあえずどれくらいの防御性能が違うのか……それも確かめたいから、さっきもう一体の鬼の顎をふっとばしたくらいの威力で拳を突っ込んだ。

ある日、超能力に目覚めた件 101P

 結論から言うと、平賀式部と山田先輩の関係は幼馴染というよりも、昔近所に住んでた間柄で、別にそんな頻繁に遊んでた……とかいう感じではないらしい。幼馴染というと親同士が仲よくて、幼い時はいつも一緒にいたとかさ、それこそどっちかの家に入り浸ってたとか、一緒によく旅行をしてた……とかそんなのがあるのが幼馴染という感じだと思う。

 けど二人はそうではない。本当にただ近所にいました――という感じだということだ。だから知り合いというのもどうかというほど……本当にただのご近所さんだったということだった。

 つまりは桶狭間忠国がいってた事が真実だった……ということだった。実際、幼馴染の定義って奴はないだろう。何がどこまで親しいとしたら幼馴染なのかっていう定義はない。だから山田先輩が「俺たちは幼馴染なんだ!!」と言い張ればそれは幼馴染になってしまうのかもしれない。

 実際、幼いときに会ってるのはそのとおりだし。でもその関係性はご近所さん以上でも以下でもない。

 

「でも、幼い時って行動範囲とかすごく狭いし、近所に年の近いやつがいたら自然と遊ぶようになるような気がするけど?」

 

 それが自然ではないか? と野乃野足軽は思った。だって行動範囲って年とともに広がると思ってる。最初はそれこそ家の中、それから飛び出せるように少しずつ広がっていくものだろう。

 そうなると近くにいる年の近い奴ってのは自然と一緒にいるようになるものだ。だってやっぱり親とかとは子供みたいな遊びはしないだろう。時々付き合ってくれる……とかはあると思うが、子供なんてのは毎日毎日遊んでるようなものだ。

 それにずっと付き合える大人なんてのはニートくらいだろう。だからどうして、その自然な事が起こらなかったのかな? という気持ちで野乃野足軽は聞いたんだ。実際、山田先輩が平賀式部の幼馴染になることあったんだ。いや、普通ならなってるだろう。そうして二人は互いに惹かれ合って……けど幼馴染の関係性が心地よくて、お互いに思ってるけど、その距離感を壊したくなくて、そのままの関係だけど実は……みたいなのがあったかもしれない。

 でもそんなのはないらしい。

 

「それは私もあの人も、それなりに裕福な家庭だったからじゃないかしら? 私もあの人も幼いときからそれなりに習い事もしてたし、付き人とかいたもの幼い時は、それこそ逆にいつだっていろんな所に付き合わされてたわ。

 それこそ海外とかね。向こうもそうなんじゃない? だから時々見るときがある……みたいなものだったもの」

「なるほど……金持ちは近所でなんか遊ばないと……」

 

 そういう世界もあるのかと……野乃野足軽は思った。金持ちなんてなんて羨ましいんだろうって思ってたわけだが、平賀式部の幼馴染になれなかった山田先輩はご愁傷さまと心のなかで思ったのだった。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 738

 私は鬼の顎を吹き飛ばしてた。これは撃ち抜いたことへの比喩表現とかではない。事実、現実として撃ち抜いたということである。つまりは鬼の顎が無くなったのだ。まあなくなったというよりもその体から分離したというか? そういうことだ。

 人間の顔の顎部分が吹っ飛んでいった……と思ってもらえればいいだろう。それによって鬼一体がたたらを踏む。そもそも宵には地面とかないから、どうやって鬼は立ってるのか……G-01はそれこそブースターがあるから、それで奈落の底へと落ちていかないように浮いてる。

 でもまだこのブースターではそれこそ空中にずっとG-01が維持するには足りないんだが、それでもなぜか宵では大丈夫なんだよね。きっと大気とかなくて、重力とかも無いからだと思われる。だから、鬼だって落ちない。その巨体が浮いてるのかなんなのか……けど、鬼もただ浮いてるってわけじゃない。

 だってそれなら素早い動きなんてのは出来ないだろう。それに無重力で浮いてるのなら、ふんわりふんわりと行った感じの動きになる。その動きは決して早くはないだろう。

 でも鬼はそこそこ早くはある。まあデカいから緩慢な動きではあるが、そこに不安定さはない。無重力ってなんか不安定な感じというか印象があるが、鬼は別にそんなのはないんだ。

 ちゃんとの地面に足をついてるような安定感がある。実際地面はないが、なにかそういうシステム的な何かが鬼にはあるのかもしれない。顎を無くした一体は、とりあえずダメージをうけてそれの修復をしてる。でももう一体は未だ普通に襲ってくる。鬼の厄介な所はその耐久力にある。

 膨大な力を盾にしたその圧倒的なしぶとさといってもいい。それが厄介なんだ。だから顎を砕いたとしても、実際はそんなダメージにはなってないだろう。

 

「鬼を倒すには、その角を折るしか無い」

 

 それが鬼を倒す手段だ。これまでのデータでもそれは判明してる。だから狙うは角だ。鬼の角には膨大なエネルギーが内包してあるから、それをなくすと一気に鬼は弱くなる。鬼が腕を伸ばしてくる。私はそれをブースターをうまく調整して、くるくると交わすよ。地面とは違う動きが求められるこの宵という空間。

 最初はそれこそ戸惑ったけど、今はなれたものである。寧ろ、こっちのほうが色々と面白い動きが出来る。なにせ360度動く選択肢があるからね。地上ではだいたい180度が限界だし。

 腕を掻い潜って一気に鬼の角へと迫る。そして私はG-01の拳をぶち当てる。その瞬間、甲高いキィィィィィィィィンという音が響いた。そして鬼が吠える。奴らも自分たちの弱点は知ってるんだ。だから私がその角を狙ってるとわかると、ああやって吠える。さらに今回はなんかいつもの鬼のときとは違って、その角が輝き出した。そして鬼にも変化が起きる。

 なんかその体が黒くなっていってる。今までは裸というか……なんかそんな感じだった。肉感があるっていうかさ……全裸に近いと思ってたわけだ。まあ鬼だし? それに違和感はなかった。

 でもなんか今は、黒いピッタリとした服というか、スーツでも来たかの様な……そんな感じになった。こんなのは実際初めてだ。やっぱり何かこの鬼はいつもの奴らとは違うらしい。

ある日、超能力に目覚めた件 100P

(がんばれギャル達!!)

 

 野々野足軽はいつもの空き教室でそんなことを思ってた。目の前には平賀式部がいる。四時間目の時に教室を出て保健室へと行った野々野足軽と平賀式部だが、すでに保健室は出てた。なにせあの頭痛の原因は別に病気とかではなく、アースのせいだ。それにちゃんとアースには目的もあったらしい。

 そしてそれを今は野々野足軽も察してる。だから文句も言うことはやめた。こうやって今、平賀式部と昼食を取ることができてる……ってことが大切だ。なにせ何せ今日と言う日は一緒に食事を摂ることはできないと思ってたからだ。

 それはもちろん、今教室にいる人が原因だ。山田先輩……あの人が教室に来ると宣言したからだ。でも今、あの人は野々野足軽のクラスのギャル達に捕まってる。いつもはギャルというか、いつも固まってでかい声量で話してるあの人たちが野々野足軽は苦手だった。

 女子だというのに平賀式部とは違って品性って奴が感じられないのだ。別に平賀式部みたいに……なんて言うつもりはないが、せめて最低限の品性は欲しいと思ってる野々野足軽である。

 でも今はその品性のカケラもない積極的な姿勢で山田先輩を足止めしてくれてるのだからありがたい。

 

「それであの先輩とは……その幼馴染とかさ? 本当な……んですか?」

 

 弁当を突きながら、野々野足軽は一番気になることを聞いた。何せあの主張のせいで、何やら劣等感が生まれてる……と言ってもいい。それにもしもそうなら、なんで言ってくれなかったのかって思いも生まれる。

 野々野足軽はクラスの中では一番と言っていいほどに平賀式部と親しくしてると思ってるんだ。とりあえず山田先輩が今日、平賀式部に用を伝えることはできないわけで、それなら今のうちに懸念を解消しとこうと思ったわけだ。

 

「幼馴染ね。私はそうは思ってないもの。相手が勝手にそう思ってるだけ」

「近くに住んでたとかはないと?」

「小さい時はあったかもね」

「あったんだ……」

 

 どうやら実際小さい時はご近所さん? 的な物だったらしい。けど平賀式部はそんなことよりも野々野足軽がやけにそのことを気にするのが嬉しいらしい。

 

「私は幼馴染みなんて思ってないけど、野々野君は気になるの?」

「それは……ちょっとはね」

「そうなんだ。ふーん」

 

 そう言って平賀式部は頬杖をつきながら野々野足軽を見てる。そのいたずらっ子みたいな笑みが可愛いやらなんやらで、野々野足軽はめっちゃそわそわしてた。そしてそんな二人がイチャイチャとしてる中、山田先輩はなんとかギャル達から逃げて保健室にきたが、そこにはもちろん平賀式部はいない。

 そんな状況にがっくりと肩を落としてた。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 737

 ネナンちゃんを再び確保した私に向かって、何やら鬼が文句を言ってる。でもその言葉は私にはわかんない。食おうとしてた奴の言葉なんて解りたいとも思わないしね。何か言い訳でも言ってるのかもしれないが…… もう騙されないよ。これ以上、ネナンちゃんを危険になんかさせない。

 私はとりあえずネナンちゃんが危なくないようにしようと思った。なのでちょっとした収納スペースに彼女を保護したよ。肩と胸の間くらいにあるスペースである。人二人くらいは入るだろう。

 大人基準だからネナンちゃんみたいな小さな子供なら余裕だ。なんでそんなスペースがあるのかって? もちろんこういう時のためである。別になくてもいい物だとは思うけど、あっても別に性能に影響なかったしね。取り敢えずそこにネナンちゃんを収納して、私は両手をフリーにする。

 

「さて、ネナンちゃんを誘い込んで何がしたかったのか……問いただしてあげるよ」

 

 実際この二体の鬼は、鬼でしかなかったわけだ。ネナンちゃんがこいつらの声を聞くことができたのも……それはネナンちゃんという存在をどうにしかしたかったから……ってことだろう。

 でもそれなら……鬼がなぜ? ってことになる。鬼はだって明側には干渉なんてしないはずだ。それこそただ世界を再構築するための存在だから。でも同時に私は鬼がこの世界の監視者というか……そんなのだとも思ってる。

 干渉はしないが、なにせ宵のたびにこの世界は鬼によって再構成されてるからね。そうなるとこの世界になにが好都合で不都合なのか……それくらい鬼はわかってる。いや、この世界にとってなのか、この世界の神にとってなのかは知らないが……この場合は鬼は神の先兵みたいな物だし、きっと神にとって……だよ。

 

「つまりはネナンちゃんは神にとって邪魔なのかな?」

 

 別に鬼に聞いてる訳じゃない。ただ私は自分の頭の中を整理してるだけだ。とりあえずはフリーになった拳で、私は鬼に重たい一撃を食らわせる。鬼とG-01ならこっちが小さいんだが……それもかなりね。豆粒……とまでは言わないがサイズ感的にいうとG-01でも鬼から見たら人形サイズだ。そのくらい鬼は大きい。だからきっとネナンちゃんなんて豆粒、人間から見たらアリンコみたいな見方をしてたと思う。

 普通はそれだけのサイズ感の違いがあったら、普通に攻撃したって意味なんてない。いくら力が強くてもサイズが違えば、規模が違うというか……そんなふうになるのだ。でもそれは普通の生物に適用したら……の話である。G-01の大きさは鬼から見たら人形サイズでも、そのエネルギー自体は鬼を上回ってる。なにせたくさんの鬼を狩ってきたらからだ。

 だからこそこの小さな拳でも通用する。その拳にエネルギー乗せて、さらには勢いをつけるために、手首のところからいくつものブースターが姿を現した。それによってさらに加速。鬼の一体の顎を私は吹き飛ばした。