「どっせえええええい!!」
私は枝を蹴って空中にでる。そして片足をまっすぐに伸ばして、鯨へと向かって突貫していく。勢いは新たに造った腰のブースターで確保する。先にこの鯨を倒せれば、もしかたらあの大きく育ってる力を霧散させる事が出来るかもしれない。
だってあれだけの力だ。この鯨の意思が介入してるのは自明の理。だからこそ私は鯨を狙う。なにせあの力の塊をもう一度受け止めるなんてぶっちゃけしたくない。だってめっちゃ痛かったもん。痛かったもん!!
「づっ!?」
近付いていった時、鯨の奴が吠えた。するとその音圧で吹き飛ばされた。バカなのこいつ!? 音圧で吹き飛ばされるってなに? てか頭グワングワンした。案外ダメージも大きいぞ。でもこのままやられっぱなしで居るわけにいかない。
「しっかり掴まってなさいポニ子!」
私はそう言ってブースターを目一杯吹かせた。体のバランスを取るのが難しい。ものすごくG-01が回る。でも無理矢理、鯨の方向へと向かう。でもただ向かうだけではさっの二の舞だろう。効くかわからないけど……
「やってみるしかないよね!」
私は背中のユニットを稼働させる。不快な音と共に、背中に響く衝撃がいくつも伝わってくる。けどやっぱり見た目ではわからな――
「ん?」
――何やら鯨がモジモジ……というかグワングワンしてる。流石に鯨の大きさでモジモジはないかなっておもった。体をくねらせて、頭と尾を動かしてる様は明らかにさっきまでの悠々とした姿ではない。
「まさか……効いてる!?」
『なんで驚いてるんですか?』
いや、まさか効くとは思ってなかった。だって鯨が造ったあの力の塊は全然効いてるかわからなかったし、あの鯨だって大きい。とても大きいポニの集合体だ。だから効いてたとしても、きっと反応なんてないんだろうって思ってた。
まさかあんなに反応するとは……
「どういうこと?」
『推測ですが、あれはアナタがポニと呼ぶ者達の集合体です。そしてアレが造った攻撃は一つの巨大な力です。このユニットの干渉がポニ単体に影響を及ぼしてるのではないでしょうか?』
「合体してるのに、ポニとしての存在があるってこと?」
『おそらくは。ですから、あれだけ巨大でもその姿を形作ってるポニの影響を如実に受けてるのでょう』
「よし、ならどんどん苦しめえええ!!」
私は背中のユニットをフル稼働させる。まるで陸に上がった魚の様な動きをしてる鯨。まあ陸よりも上に来ちゃってるけどね。でも向こうも抵抗として再び咆哮した。しかも今度のは何か違う? 確かに凄かったけど、覚悟が出来てたから、大きく吹き飛ばされはしなかった。でも、何かこれだけじゃないような……
『後ろです!!』
「ぽにぽに!」
AIとポニ子の声が重なる。私は首を動かして後方を確認して思わず呟いた。
「ちょっと……嘘でしょ……」
そこには同じ力を内包してそうな球体が更に四つくらいできてた。どうやら鯨は本気出してきたみたいだ。