「さて、ではそこの子供を捕らえなさい」
何? 変な集団の変な奴……いや、その中でも多分リーダー格の奴だろう。そいつがそういった。私の拘束に四人を残して残りの奴らがネナンちゃんへと向かう。まざか奴らの狙いはネナンちゃんの? 一体奴らは何を見てた? 流石にあの高度で起こったことを見ることなんかここの世界の人達には出来ないような?
(いや、こいつら魔法みたいなの使ってるか)
技術的にも双眼鏡の片側版みたいな物はあるが、流石に太陽の近くでやってたことを見るなんて出来ないだろう。そんなことしたら眼球が終わるだろう。ならどうやって見たのか……少し考えれば後は魔法しかないとわかる。でも私が知る限り、この世界の魔法はかなり限定的だったはず。でもこいつは私を拘束するのにも魔法を使ってる。まあ拘束できてないんだけど……でもこれは間違いなく魔法である。
「AIどう?」
『解析進行中です。でずがこれは……』
いつも物事をはっきりと言うAIにして珍しく口ごもってる。なにか気になる事でもあったのかな? それよりもネナンちゃんだ。助けてあげたいが、まだ解析中だ。下手に動くとこのへなちょこな魔法は崩壊してしまうだろう。それはちょっと……解析できなくなる。しょうがない。
「ポニ子、ネナンちゃんを守って!」
私はG-01の中でそういうよ。大丈夫、ポニ子にはちゃんと伝わってるはずだ。
「ポニポニ!」
「なんだこの異様な存在は!!」
「ええい邪魔だ!!」
ネナンちゃんの前に立ち塞がるポニ子に変な格好した集団が一瞬たじろぐ。でもポニ子はお世辞にも強そうには見えない。だからだろう、奴らは突っ込んで行く。でも見た目で判断するなんて青二才である。
「ぐあ!?」
「ぬべらっ!?」
前を言ってた奴らが変な声と共に吹き飛んだ。勿論それを行ったのはポニ子である。その短い手を伸ばして鞭の様にしならせて変な格好の奴らをぶっ飛ばしたのである。
「ぽーーーーにーーー」
ポニ子のいつもの脳天気そうなポニポニ言う声とは一段低いその声にはちょっとした迫力があった。
「ポニちゃん……私の事守ってくれるの?」
「ポニ!」
そう言って頷くポニ子。まあ私の命令だしね。けどそんなことネナンちゃん達子供達はわからない。
「なんだかよく分からないが、逃げるぞネナン!」
「そうだよ! ポニちゃんだけじゃない、私達だって味方だよ!!」
皆復活したネナンちゃんの目に戸惑ってたけど、死体が事態だからだろうネナンちゃんの為に行動してくれるらしい。良い子達だ。とりあえずポニ子には時間を稼いでもらえればいい。その間に私はこの魔法を解析して終わったら懲らしめるだけだ。ポニ子は実際どれだけやれるか未知数だし、敵の力も未知数なら、下手にぶつかる必要は無いだろう。今なら、奴らはポニ子を警戒してる。私はポニ子に向かって頷くよ。するとポニ子は踵を返して、ネナンちゃんの手を取って走り出した。それに他の子供達もついてくる。変な組織と子供達の逃走劇が始まった。