とりあえず、自分の欲望に忠実だけどそれが良い方向に回ってるから、ラパンさんの息子は放置で良いだろう。あいつに指示を出される奴はご愁傷様だけどね。私には関係ない無い。とりあえずジャルバジャルはいいだろう。ここには魔王がいるし、大抵の事は魔王がいればどうにかなる。戦力としては、勇者も別にこっちに置いてていいんだけどね。私と入れ替わりでこっちに来させればいいかもね。
基本あの二人はセットだ。魔王一人だと不安だけど、勇者がいれば止めてくれるからね。まあなんだかんだいって魔王が案外考えてることわかってるけど、わかった上でも突き進む奴が魔王だしね。
「さて、帰ろうかな?」
私はこれ以上働きたくない。なにせ下手にここでウロウロしてると、なにか用事を待ってるみたいじゃん。実際暇なのも嫌だけどさ……私は基本的に誰かに命令されるとかいやなのだ。それに魔王や勇者には敬意を払って接してる人達も、私の事、ただのデカい従者みたいに思ってるやつとかいるしね。踏み潰すぞって思うよね。
そんな奴の為には働きたくないのは道理。なのでさっさと帰って子供達に遊ぶか、ネナンちゃんを見守るか……だね。色々とあのラパンさんの息子はこのジャルバジャルを好きなように弄る気みたいだけど、私には関係ない。
「おお、ジゼロワン殿!」
そんな事を言ってこっちに手を振ってくるのは……振ってくるのは……誰だあれ? 私が判断しかねていると、AIがこういってきた。
『あれは個体名『ジャル爺』と判断します』
それは個体名としていいのか謎だけど、まさかあれがジャル爺?
「なんか若返ってない?」
『それに我らの力を感じます』
確かに? でも簡単に力をあげるなんて事はできないって言ってなかった? そんな事をしたら、下手したら死んでしまう。寧ろ元気になってるけど……
「これですか? 儂は勇者様に力を分け与えて貰いましてな。再びこうやって皆の役に立つことが出来るようになったのです!」
別に何もいってないのに、何かを察してそんな事を言ってくるジャル爺。なんかやけに察しが良くて怖い。年取ると察しが良くなるのかな? まあ若返ってるけど。私は気になったからジャル爺の体をスキャンしてみる。ふむ……いや、やっぱりだとは思ったけど……これは……でも本人的にはもしかしたらわかってるのでは? そんな気がしないでもないけど……
ジャル爺の体には二つの力がある。けど今は私の力のほうが強い。それで体に異常が無く普通に動けてるのがおかしいが……まあもしかしたらこの世界の人達の体は頑丈で適応力も高いのかも知れ無い。それは良いけど……でも負担にならないわけじゃない。
二つの力を内包できるようには成ってないわけで……つまりなんというか……ジャル爺の体はとても危うい。はっきりと言うと、この状態は寿命を縮めてる様なものの気がする。とりあえず……この責任はちゃんと勇者にでも取らせよう。私はただ、それを知ってしまっただけで、伝える義務はないしね。勇者に話してどうするのか……それを決めさせるかな。