私は一足で街中を飛び越えて砂漠へと出た。丁度行き倒れた人の居るところに着地する。それに驚いて二つの頭を持つラクダが逃げだそうとするけど、一応確保。そして行き倒れてるその人もつまんで宮殿に戻った。丁度扇情的な衣装の使用人の人が居たからその人の目の前にラクダとその人を差し出す。
「これは?」
最初はわかってないみたいだった。いきなりG-01が空から現れて着地した衝撃で尻餅ついてたからね。なんか怯えてた。だからちょっとの間ほうけてたけど、私が運んできた人がヤバそうだとわかると直ぐに声を張って他の人達に知らせてくれた。そして人が集まってきたからもう大丈夫だろう。ラクダも引き取ってくれた。
さて、アレはいったい誰なのかな? 私は定位置に戻って解放されてるその人の周囲に聞き耳を立てる。
『趣味悪いですね』
「しょうがない、暇なんだもん」
『言う事はそれですか』
「良心の呵責とかないよ。今更だしね。町中の情報が入ってくる様にしてるんだから、そんなの気にしてらんないよ」
私はAIにそう返す。私は何だってアズバインバカラとジャルバジャルの事ならしってるよ。まあジャルバジャルはそんなに人居ないし、別にスキャンダル的なのはない。けどアズバインバカラは誰と誰が浮気してるとかまで把握してる。
宮殿の中でも、お偉いさんと関係持ってる下働きの人とかけっこういる。まあこの世界、そんな娯楽ないもんね。そういう事がハラハラドキドキして良い刺激なのかもしれない。とりあえず粋だ折れてた人は医務室的な所に運ばれてそこで横にされて水を与えられてた。
しばらく起きないかとおもったけど、水を与えられるとむせかえりながらも、覚醒したようだ。
「お願いです! お助けを!!」
行き成りの第一声がそれだった。それにかなり悲壮感を漂わせた感じで見ずを与えてた女性に縋る様にしてきたから、その人もビックリしてた。ビンタとかは流石にでなかったけど。
「落ち着いてください。貴方は助かってますよ」
そういう風に医者の男が言うが「そうじゃない!」と粋だ折れてた男はいう。
「このままでは家族が……砂獣に……ですから!!」
どうやら彼……というか彼等? は砂獣に襲われたらしい。行商人かなにかなのかな? 危険なこの世界でも商人と言うのは存在する。行商人ともなると、かなり少ないが居る事にはいる。外に出れば砂獣に食われる確率はグッと高まる訳で、普通は外に出てまで商売する奴なんていないが、それでは街とか発展とかがね。だから街は普通行商人を何人かまとめて軍で護衛して街と街を移動するらしい。
となると、この人だけの訳はないよね。もっと大所帯の筈だ。
「物資が襲われたということですか……いえ、その場合は物資自体は多分無事でしょうがご家族はもう……」
「まだ希望はある! あいつはなんか変な砂獣だった! そう! 小さかったんだ!!」
「小さい?」
そこまで聞いて、なんか私の背中にゾクッとした嫌な予感が。
「そうだ! 馬くらいの大きさで、でも頭は馬ではなかった。それに翼が!!」
うん、それ私が逃がした砂獣じゃん!! 私は急いで飛び出した。せわしいなもう。あの砂獣だけは許さないぞ。