私は一気に上空に飛んだ。そしてさっきの彼がいきだおれてた場所から先をみる。まあ実際、彼が来た方向はまだ装置を飛ばしてないから、ここはG-01のズーム機能に頼るほか無い。けど大丈夫、障害物がほぼないこの枯れた世界なら、砂嵐でも無い限りは数十キロ先まで見える。
だからまあ充分だろう。勿論ズームすると死角が狭まる訳だけど、それでもG-01の視界はかなり広いからね。どうにかなる。
「むむ……いた」
何やら大きな砂柱が上がってる場所を見つけた。流石にあの砂獣の姿は見えないが、でも可能性は高い。私は空中でブースターふかして一気にその場所を目指す。きっと掛かった時間は僅か数十秒くらいだったと思う。私は砂を巻き上げながら着地する。すぐさま攻撃に移れる様に色々なセンサーを駆使して状況を把握してる。砂のせいで何も見えないからね。砂獣がこの隙をついてくる可能性はある。
でも結局、砂が再び下に落ちきってしまう間、何かが起きる事はなかった。そもそもがここに着いた時から、力は感じなかった。
『倒れてた人達が生き埋めになりますよ?』
「わかってるよ」
とりあえず周囲に砂獣はいないし、襲われてたらしい人達を掘り返してあげる。でも大抵死んでるね。まあ生きてる希望は最初からなかったから、これはしょうがない。でもどうやら運がいい奴もいるらしい。その人は周りの兵士とは違ってローブみたいな物を着てる。
「これって……」
嫌な装飾だね。なんか見覚え有るもん。その人が着てるローブの模様はあの協会関係者達が着てた変な服の変な模様によく似てる。てか多分、この人は協会関係者だろう。
「見捨てようか?」
『罪を重ねる気ですか?』
「ちょっとその言い方やめてくれない?」
本当に私がなんか悪い事をしてるみたいじゃん。すべては不可抗力だから。でも実際問題、この人は生きたいだろうか? って思うんだけど……
『生きに死には本人が決めることでは? 助かった後に死ぬことを選ぶのなら、それでいいのです』
「私のせいじゃないもんねそれなら」
確かに良い事だ。私は一応の贖罪を済ました気持ちになれるからね。ここで見捨てたら、私に更なる罪がのしかかるかも知れないが、一度助けた後に勝手に絶望して死を選ぶのなら、それは私には全然全く関係ない。協会関係者ってところが引っかかるが、一応助けてあげよう。
「うわー」
思わずそんな声を出してしまうくらいには彼女の状態は酷い。重傷……なんて物じゃない。まさに瀕死。だって彼女は右手と両足がないんだから。