「ベイルベンの遺児」ってのは奴ら、教会の奴らの言葉的に多分だけど、ヌメリアさんが産んだ砂獣だろう。奴らはどうやら、ヌメリアさんが産んだ砂獣、そしてそれが取り憑いた砂獣を管理下に置いてるらしい。
ということは今この瞬間にメリアスさん以下、この街の住民たちとバトルってるのはこいつらの意志ってことになる。実際のところ、メリアスさんは確かに脅威だが、勇者の方を積極的に狙って砂獣どもをこの街に投入した方が波として早くこのサーザインインラシャインを落とせると思う。
でもそれをせずにこの街の住民を狙うようなことをしてる。何か理由があるんだろうか? ヌメリアさんを確保するってもあると思うが……まあ市街の方には彼女はいないけどね。
でも戦力的にはメリアスさんとかいるし、今や私の持ってきた武器をたくさんの人が持ってる市街の方が防衛力としては偉い奴らが集まってる宮殿よりも上にはなってる。
「どういうことだ?」
「なぜ奴らはあれを使ってあんなに動ける?」
そんなことを遠目から見てる教会の奴らが言ってる。どうやらこいつらは自分達が切り札としてあの街に配備してたあの呪いの武器たちを訝しんでるようだ。まあそれはそうだよね。
てかこの会話を聞く限り……
「やっぱり最初からサーザインシャインインラを救う気なんてなかったんだね」
ってのがわかる。だってこいつらが用意してたあの武器では結局のところ、波を退けることはできないってわかってる口ぶりだ。確かに一時的に盛り返すだけの力は当初のままの武器でもあっただろう。
でもそのまま使ったら、あの武器を手に取った人は近いうちに死ぬ……そんな呪いの武器だった。だから私がそういう呪いの部分を取り除いて、さらに強化したのが今のあの武器たちだ。命を力に変換する機能を私……というかG-01からエネルギーを供給されることで実質無限のエネルギーを手に入れてるみたいなことになってる。
だから奴らが想定してた以上の性能を発揮してるのに驚愕してるんだろう。
「まあ別にいい。そのうちあれを手に取ってる奴らは命が尽きる。それにあの巨人もそうだ……うまくやれば、想定以上の力を回収できるぞ」
そういって教会のやつは何やらゴソゴソとして懐から何かを取り出す。それは黒い球……いやちょっと待て。私は奴らに気づかれないようにそっとズームしてよく見るよ。するとなんかドクンドクンと手の中で蠢いてる。
「何あれ? 生きてる?」