「あれは……」
私は宮殿の崩壊を見届けつつ、何か使えるものはないか……とか上層部の奴らの不正の証拠とかドローンで確保しつつ、おじさんとヌメリアさん、そして彼らについてきた数少ない宮殿の生き残りを隊長さんであるメリアスさんを筆頭に進化した砂獣たちと激しいバトルを繰り広げてる市街の教会へと送り届けるのが私の今の任務な訳だ。
けどその間にも色々とやらないといけないことはあって。そんな時に見つけたよ。ふむふむ、これは使えるだろうってことで生産したドローンたちが次々に到着してるから、その子達を使って、回収したりする。メリアスさんたちも余裕があるって感じじゃないからね。
これはきっと彼らの一助になってくれるはずだ。
「美しかった私たちの街が……」
そんな事をおじさんが呟く。ドローンに捕まって湖の上を移動してるから、そこそこの高さになってるから、そこからサーザインシャインインラを見ることで、この街の崩壊ってやつを目の当たりにしてるんだろう。私はずっとドローンから見てるから、よくわかってるわけだけど、そこに感慨なんてのはなかった。
なにせこの街には思い入れなんてのはないからね。確かに初めに見た時はこの世界にもこんな綺麗な街があるんだってのは思った。でもそれだけだ。けど今こうやってドローンに捕まってる人たちは違う。ここで生まれて、この街で生活をしてきたわけだからね。きっと色々な思い出が枚挙してるんだろう。
まあけど、こうやって生き残れたことを安心した方がいいと思うけどね。いや、まだ終わったわけじゃないけど。もしも進化した砂獣やら残りの……というか波が終わった時にそういうことは思った方がいい。
なにせまだまだ砂獣は砂の中から生み出されてる。いくら雑魚が生み出されようと……と言いたいところだけど、それが言えるのは私や勇者くらいだしね。いくら強い武器を手に入れたと言っても、みんな普通の生命体だ。活動限界ってのはあって、疲労だって蓄積する。まあだからこそこれだけど……いいものを見つけたよ。そんな事を思ってると、超高エネルギー反応が突如現れた。なんか黄金の鬼のツノがバチバチなってる。あれは宵での鬼狩りの時に何度も見た。結構やばいやつだ。
この後に鬼が何をするのか……それは高めたエネルギーを放出する。口からだったり、目からだったり、腕からだったりと、その方法はさまざまだったけど、その破壊力たるや……目を見張るものがあるのは確かだ。
てかかなりやばい破壊力がある。
「ここでそれを撃つんだ……やばいかもね」
あれって宵だからこそ、世界に影響がなかったんだよ。元々宵は世界を再構築してる時間だ。つまりは半分は世界は崩壊してるわけで、だからあれだけのエネルギーをぶっ放したとしても、既に壊れてる世界には影響なんてなくて、明までに世界の形を形づくればよかっただけだ。
でも……今は明。世界は固定されてる。そこにあれを打つと、下手したら崩壊しかねないよ。宵には選別してあるから、世界を再構築してても生命体は無事だけど、今はそんな選別なんてしてない。あんなもの撃ったら世界が崩壊して、そしてこの世界全ての命が潰える可能性だってある。
「脅し……とかじゃなさそうだよね」
そこまで鬼って頭良くないし。そんなとき、勇者が聖剣を輝かせて鬼へと向かってるのが見えた。まあ勇者しか相手できる奴いないよね。でも勇者だとしても、勝てるかどうかなんてわかんない。いや負ける可能性のほうか高い。それくらい、鬼は強大な存在だ。