食事を終えて、さっそく俺は王様に質問をする。なにせ最初に何が目的かちゃんと聞いとく必要があるだろう。そこら辺の齟齬が後で対立になる――なんてことは往々にしてあるだろうことだからだ。
なんとなく、王宮側も協会の横暴に我慢の限界がきて、そこに俺という存在がいることで、どうにかなるかも……という希望で動き出した――ってのは大体わかる。でも、それは動き出した理由であって最終目標ではない。途中から齟齬が起きないように、最初からどうしたいのかっていう目標の共有は必要だと思うんだ。
そうしたら途中で仲間割れしないで済むし。まあ実際、きちんと腹の中を見せるかはわからないけど。
「協会の代わりにあなた達は何をしたいんですか?」
俺はそういう風に聞く。一応、一応協会はなんかこの世界が太陽に到達した後を考えてるみたいではある。というか、教会が魔法とかを市政に広めてないのは、太陽に到達してこの世界が終わるのが前提だからだよな。
魔法が民間にまで広まれば、もっともっとこの世界の人たちなら抵抗ができるはずだ。なにせもともと肉体とかが強いしな。更にそこに魔法という力が加わればさらにこの世界の人たちがしぶとくなるのは目に見えてる。
そうなると、協会の目標である太陽と一つに……なんちゃらって奴が遠くのは確実なんだ。てか協会の奴らの言い分的に、すべての人が太陽に到達した後の世界で生きられるってわけでもなさそうだ。
それこそ協会の上層部だけ……なんてのはありえそうだし。
「我々王家はもちろん、この世界を存続させる事を目指します。協会はこの世界に何も求めてはいない。我等はそれを感じてます」
王様であるゼラバラバファ・バン・グルダランファ13世は神妙な面持ちでそういった。思ってたとおりではある。傀儡……といっちゃ悪いけど、王家とは長らく協会に操られていたんだろう。だから奴らの裏側だって相応に知ってる。
「奴らの実態をすべての民衆に公表しますか」
「信じてくれるでしょうか? 奴らは民たちの中では信頼されています」
「上手くやってきたと……そういう事ですね」
「ええ、それに街を統括する領主たちも、全てが協会に不満を持ってるかと言えば……そうではないかもしれません。傀儡となってる権力者は多い」
町がそれぞれ反旗を翻してくれたら、結構心強いんだけど、この世界への協会の影響力は俺が思ってるよりも大きいようだ。この中央は、王家のおひざ元だが、同時に協会のお膝元でもある。
そしていまの王家と協会の立場を比較すると、中央でどっちの言葉が信じられそうかってなると協会だよな。
「あなた達が協会に立ち向かうとなると、ここでは危険すぎますよね?」
「そうですな。ですが我等はここに……この城に閉じ込められてるようなものなのですよ」
そこまでか……どうやら、俺が思ってた以上に、王家と協会の力の差はあるみたいだ。