uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 501

「おぬし様もこの力を使うのなら分かるであろう。真名とは特別なのよ。魂の真名を知られると、術をかけやすくなるからの」
「確かに……」
「おぬし様も勇者というのは本当の名ではないのであろう?」
「それを言う必要があるのかな?」
「ふぇふぇふぇ!」
 
 そんなやりとりをやってる。でも別に自分は勇者と名乗った事あったかな? いや、普通に魔王も勇者と呼ぶし、ジゼロワン殿も勇者としか言わないから、皆が勝手に自分のことを勇者と呼ぶんだ。そしてそれが名前だと思われてる。この世界では別に勇者みたいな存在を勇者とは呼ばないらしい。だからこそ、なんの問題もなかった。だから何の疑問なく皆が勇者と呼んでたわけだ。
 
 でもこいつはその勇者が別に名前じゃないと……わかったと。いやただ単に魔法が使える奴はそういう事に気を遣うって言う事情があったかららしい。らしいというのは別に自分の元の世界ではそこまででもなかったからだ。確かに本当の名前を大切にする文化はあったような気はする。でもそれも一部の魔術師だけだったはず。
 でもこの世界の魔法には名前は実は結構重要なのか? それにしてはペニーニャイアンとかは普通に本名のようだったような……いや、もしかして……
 
「この世界の人達は大体は本名ですよね……それって……魔法を重視してる教会の意向とか?」
「そっちのほうが管理しやすいじゃろう?」
 
 なんの悪びれることもなく蜘蛛人間はそう言った。やっぱりそう言うことか。魔法を使える奴にとっては真名という物は重要だが、実際の所その対策として、その力がない人にこそそういう心構えって必要だ。だって……一般人がそれを知らないって事は簡単に……そう簡単に支配されるって事だ。
 やっぱりだけど、それは意図してやられてることみたいだ。教会が色々とやりやすいようにこの国を作ってる。それはやっぱりだけど間違いない。何か起きても、魔法の魔の字も知らない様な連中には抵抗の術なんてないんだ。だからこそ、教会は圧倒的な力を持って、そして腐ってきた……とも言えるよな。
 
「まあ、儂はそんなことには興味ないんじゃがな」
「貴方はなんの為にここに? 教会の意向があったんじゃないんですか?」
 
 なんかいつの間にか、自分が話してるが……それでいいのだろうか? そう思って当初交渉を行う予定の人に視線を向けるけど、彼は神妙な顔で頷いていた。どうやらそのまま自分にやって欲しい……と言うことらしい。なんか都合良く役目を任された感じがあるな。
 でもこの蜘蛛人間であるヌポポは色々と知ってそうだ。教会の隠してること、洗いざらい吐いて貰おう。