「えっと観たいっていうか……ずっと制服でいるのはおかしいかなって……ここは平賀さんの家だし」
野乃野足軽はなんとか「みたい」って言わないようになんとかいってるようだ。ただ彼女がくつろいで無いのはおかしいって感じでいってる。まあけど、流石にバレバレではある。
「そう……だね。ちょっとだけ失礼するね」
そう言って平賀式部は奥の扉へと消えていく。多分クローゼットとかそういう所だと思う。まあなんかこの部屋、オシャレ空間が完成されていて、平賀式部がその扉を開けるまでその存在を全く気づかせることはなかった。
この平賀式部の部屋はまるで森の中にいるかのようなコンセプトなのか、それが成功してて上手く扉とかを溶け込ませてるみたいだ。森を再現するためにコンモリと観葉植物とかを置きまくってたり、壁に草を生やしてるわけじゃないが、そもそもがなんか照明が幻想的だったりすることで、うまく隅っこは暗くしてるみたいだ。
おしゃれな部屋をキョロキョロとしてしまう野乃野足軽。そうやって十分くらいは待ってただろうか? 平賀式部が消えた扉が開いて制服から着替えた彼女が出てきた。
「つっ……」
その姿を見た瞬間、野乃野足軽は息を呑んだ。別にそんな特別な一張羅を平賀式部は着て現れた……わけじゃ勿論無い。普通の部屋着だ。勿論、ちゃんと男子の前に出てもいいような規準の服だと思うけど、部屋着の範疇だろう。
平賀式部はロングスカートを履いてる。それに七分丈くらいの落ち着いた色の服をきてる。とてもシンプルだ。でも清潔感があるし、とてもシンプルだからこそ、めっちゃ新鮮に映るというか、それそこ野乃野足軽にはその素材が輝いてるように見えてる。
「こんなんでごめんなさい」
「いやいや、全然……というかいい……と思うよ」
「お世辞でもありがとう」
そういって平賀式部は「んっんー」と伸びをする。やっぱり制服をずっと着てたのは窮屈だったんだろう。でもその時、制服で隠されてた部分が上下に動いたりした。それに野乃野足軽の視線はひっぱられた。
(そんなにあの部分に興味が?)
(そうじゃねーし!!)
野乃野足軽は頭の中で話しかけてくるアースのおかげでそこへと注いでた視線を外した。制服とかではそこまで強調されることなんかないからわからなかったが、どうやら平賀式部はなかなかに大きいようだ。
「そうだ、あの子も連れてきますね」
「あのこ?」
そう言って再び出ていった平賀式部。するとすぐに犬を抱えてやってきた。
「さあシャラク、ちゃんとお礼をしましょうね」
そう言って抱えたシャラクの前足をちょこちょこと動かして野乃野足軽を観てくる平賀式部に、野乃野足軽はくらっとした。その可愛さに、意識が飛びかけてた。