「落胆」「謙譲」「候補」「可能性」「危険」「喪失」
そんな文字が私の頭に送られてくる。ふむ……これを訳すとこうなる。
『落胆したが仕方ない。候補の存在に譲渡をしよう。だがそれは危険。可能性はあるが、喪失の可能性もある』
――かもしれない。実際これは私のかなりの想像を含んでる。まあけどニュアンスはそんなに間違ってないと思ってる。そもそもが世界の力? 的な何かを譲渡しようとしてるのである。そしてそれを真っ先に与えようとしたのは私。
まあ正確に言えばG-01だろう。確かにG-01なら世界の力だって受け入れるだけの土壌があると思う。なにせ何回も鬼の角を奪っているからね。普通なら鬼の角のエネルギーなんて受け入れることはできないだろう。
風船に空気を入れすぎると破裂してしまうように鬼の角のエネルギーなんてのは普通は受け入れる器なんてのはない。それこそ世界に納まってるような存在ではありえない。でもG-01は違う。
なにせ世界を渡る前提で作られてるといっていい機体だ。なのでワールドワイドクラスのエネルギーを受け入れるだけの下地がG-01にはあるのだ。そしてそれはこれまでの行動で証明されてる。てかこの龍ならそれをちゃんと感じてるからそれを言ってきたんだと思う。
(あと、この世界で私の……G-01の代わりに器に成れるとしたら……ネナンちゃん)
――だろう。あの子ならもしかしてって感じだ。なにせすでにネナンちゃんはおかしいエネルギーを内包してしまってる。だからネナンちゃんならワンチャンある。
「ねえ、それってネナンちゃん?」
「不明」「認識」「違い」「対象」「詳細」「求」
私は頭にたたきつけられる一つ一つの言葉を整理する。するとこうだ――
『何者か不明。認識の違い。ネナンなる者の詳細求む』
――だ。なるほど、と思った。だってこいつは明の時にこの世界を守ってる存在であって、こいつ自体は別段、この世界に生きる者たちを知ってるわけじゃない……みたいな? でも……
「あんたこの世界の外側でネナンちゃんとご両親の再開と別れ見てたでしょ?」
それである。私は録画までしてその記録を撮ってたのだ。それだけ感動的な場面だった。そしてそこはこいつがこの世界を覆ってた場所で起きてた。それに……この龍……それまではブヨブヨと呼んでたけど、こいつはネナンちゃんを向けると道を開けてた。
まああれはネナンちゃんという個人というか、この世界のエネルギーを感知して関係者というか、この世界の存在だと認識したんだと思う。だから実際、この龍は多分あれがネナンちゃんだと認識しなんてしてない。きっとこの龍の認識としては自分の世界に属する存在ってだけだろう。だから私は教えてやることにした。
私がネナンちゃんを思い浮かべると、『確認』という声が聞こえた。きっと私の考えを覗き見てるね。セクハラである。まあけど、卑猥な考えは全くないからそこは我慢。そして私の頭の中の映像を見たんだろう。ネナンちゃんを確認して龍自身が候補としてた可能性の存在と一緒だったから
さらに「一致」と聞こえた。
まあそうだよね。だってこの世界のエネルギーを受け入れらる存在なんてネナンちゃん位しか思い浮かばないもん。