私は戻ってきた。神が私を登録してくれたおかげで、私は世界に、あのブニブニに拒まれることが無くなった。なので早かった。ネナンちゃんの傍には光が回ってる。けど心なしか、なんか2つの光も、そしてネナンちゃん自身も落ち込んでるみたいな? そんな風に見える。
「ジーゼ様!」
そう言って涙を溢れさせてる目をこっちに向ける。どうやら私が鬼と、そして神と会ってる間に色々と自分で頑張ってたみたいだね。そういう努力、きらいじゃないよ。やっぱり他人である私に完全に任せる……なんて事はしたくなかったんだろう。なにせネナンちゃんはいい子である。
こっちも確かに「任せて」と思ったよ。ネナンちゃんのためなら、なんだってやる気だ。けど、そういう気にさせるのは、ネナンちゃんの人柄なのだ。普通……というか人って楽な方に流されていくものだと思う。
サボれるものならサボりたいし、何かヤッてもらえるのなら「ラッキー」とか思うのは普通だと思う。でもそこでネナンちゃんは小さいのに「申し訳ない」という気持ちが芽生える子なのだ。
そんなネナンちゃんだからこそ、助けたくなるよね。
「あのあの……やっぱり私……聞こえなくて……」
うんうん、でももう大丈夫だよ。私はとことんネナンちゃんには甘いかもしれない。けど、しょうがない。可愛いのだ。もしかしたら将来はネナンちゃんは魔性の女になるかもしれない。私はG-01の手の中にエネルギーを集める。それだけじゃない。私の頭の中には設計図が組み立てられてる。流石に死者をずっととどめておく……そんな肉体はだめだと思う。
実際、今の私なら……いやG-01なら出来る。できてしまう。それも元のこの世界の肉体よりも高性能なものなんて簡単だ。でもそれはだめだろう。だから別れの時だけの、そんな肉体にしようと思う。戦闘能力はいらない。
でも雰囲気を出すためにも、しっかりとネナンちゃんの両親の姿を再現したい。だからちょっとネナンちゃんの記憶を拝借して、彼らの外見を補填する。そして感動をもたらす為の演出も忘れない。
いやいや、ここでネナンちゃんと両親はお別れするわけだ。それは……残念だけど決まってる。彼らを再びあの世界に戻すことはできない。いや出来るだろうけど、私の作った肉体を使えば出来るだろうけど……あの神がまた文句言ってきそうだし、それに厄介なことになるのは目に見えてる。だからネナンちゃんにはとっても心苦しいが、お別れはしていただかないといけない。
でもそこで綺麗なお別れ……それこそ未練とかないようにしないといけない。きっと今はネナンちゃんは両親が死んだ時の光景とかトラウマになってるはずだ。それが消えるくらいの綺麗なお別れが必要なのだ。
それのためには、いきなり目の前で両親の体が崩れたりしたらだめじゃん。ちゃんと天に昇って、昇天しました――だからもう大丈夫だよって――したい。そのためには多少の演出は仕方ないよね。