鬼がどういう反応をするのか……それを私は見極める。もしもこれが本当にネナンちゃんの両親なら、攻撃なんてしてくるわけがない。なにせ私はこんなにも友好的な接し方をしてるのだ。ネナンちゃんにだって危害を加えてなんてない。しっかりとこうやって守ってますアピールをしてる。
願わくば、こっちのチャンネルに合わせる形で話してほしい。それをしてくれたら、確信できる。ただネナンちゃんが勘違いしてるんじゃなく、本当に彼女の両親だってね。
「おっなんかこっちにくる」
私が話しかけて反応を待ってると、鬼がこっちに駆け寄ってくる。感動の再開か? とかちょっと思う。なにせ死に別れた家族が世界の外とも言う場所で再開を果たすのである。本当なら感動的な場面ではないだろうか? まあその姿が凶悪な鬼になってることには目を瞑ろう。
そんな事を私はちょっと思ってた。けどなんか……
「なんかガチ走りしてない?」
そのフォームがなんか陸上選手バリなんだが? そしてそのまま、その口を鬼は開く。しかも……だよ。
「顎外れてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
私はとっさにG-01に回避行動を取らせる。それによってなんとか避けられたけど、鬼は明らかにさっきまで私が差し出してた手の場所をガキーンとその外してまで広げた口で噛んでた。
いやいやいや……これって……更にもう一体が避けた私を追って……
「いや、あくまでコイツラの狙いのは……ネナンちゃん?」
こいつ等の視線がどこにあるのか……そこそこ戦ってきた私には分かる。なにせ鬼の情報だって戦う度に更新してるんだ。そしていくつかのパターンとかを蓄積してる。最初はそれこそ機械的で視線も何もわからなくてやりづらかったが、今や情報の蓄積でそういうのもG-01の鋭敏なセンサーが感知して分かるようになってる。
そしてそれによると、この二体の鬼はあくまでネナンちゃんを見てる。どうして鬼がそこまでネナンちゃんに固執してるのか……それが謎だけどね。私はとりあえず更によける。
「これは攻撃されてるってことでいいんだよね?」
実際の所私は迷ってた。だって相手は鬼だ。もしかしたら熱烈な歓迎の仕方なのかもしれない。