この世界の街は既に半分以上が砂の中へと沈んだとみるべきだろう。実際かなり追い詰められてたし、もう後がなかった状態とかで私たちが来たことで、希望が見えた……感じなのかも。そもそもがアズバインバカラだって、私たちが来なかったら、ジャルバジャルの次に消えててもおかしくない。
だってジャルバジャルとアズバインバカラは比較的近い。波……程ではない砂獣の襲撃でジャルバジャルは落ちてたし、あの時のアズバインバカラは確か防衛しかないって状況だった。
もしかしたらあの時、ラパンさんとかはもう覚悟とか決めてたのかもしれない。私たちはこの世界の人たちではないから、町が消えていく絶望ってやつをちゃんと理解してないと思う。
「次は自分たちの番かもしれない……」
その恐怖がこの世界の人たちには常にあるんだ。けど波とかまで操れるとしたら、今まで落ちてきた街ってもしかしたら教会の先導だったんでは? って感じがある。
「ちょっと待って……なんかおかしい。残ってる街は八つだけど、白いの十三個あるし……」
どういうことだ? あれが街を現してるってのが間違いか? でもシンボルとか変えたりするのかな? うーんけど実際何個かはちゃんとあってるわけで……それを考えたらやっぱりあれは街を現してると思う。
この世界……何をもって街にしてるのか……私はそれを考えた。街とはなんだ? 人? それは国か。お偉い人が言ってた気がする。けどそうじゃない。人だけでも、この世界では生きてられない。この過酷すぎる世界で街が街であり続ける理由……街が存続できる要因。それがこの世界にはあるじゃん。
「都市核?」
私はそうポツリとつぶやいた。そしてそれがなんかしっくりきた。憶測でしかないが……その可能性はある。だって都市核があるから、宵でも都市核が影響を受ける範囲は崩壊せずに保護される。それに都市核は人が生きるための資源を最低限は生み出してる。それがなかったら、人はきっとこの世界ではどこにも定住なんてできないだろう。
だから人よりも都市核は大事だ。エネルギーを莫大に内包してる謎の物体ってだけじゃない。
「でもあの扉の状態が、都市核があるかどうか? いや、確か砂に埋もれた街の都市核は砂獣が取り込んでたりしてたよね。アズバインバカラとかが白ってことは、人側にあるのが白で砂獣に取り込まれてたりするのが赤?
でもそれなら街にないだけで、いくつかの都市核が人側にあるってことに……」
隠してる? 教会ならやりそうだ。