「それはよかった。なら、私の言いたいことも理解してくれると思いますが?」
『確かに教会がおかしいのはわかります。でも、それをあなたが否定するのがわかりません……』
私ははっきりとそういった。だって何度も言ってるが、ミレナパウスさんはそのおかしいやつらの内部にいたはずだ。内部にいたら、その「おかしさ」ってやつが普通はわかんないものでないか? それにその中で冷遇されてたのなら、まだ納得できる。けど『巫女』であるペニーニャイアンは我がままの限りを尽くしてただろう。
なら『聖女』であるミレナパウスさんは? 絶対にいい生活をしてたはずだ。そうなると、疑問を持つことなんてないだろう。それが当たり前なんだからだ。普通はペニーニャイアンみたいになる。けどこのミレナパウスさんはおかしいと気づいた。それが……ね。それがわかんない。
「そうですね。恥ずかしながら、私も前はペニーニャイアンと変わりませんでした」
『じゃあ一体? 何かがあったんですか?』
目が覚めるような何か……それが気になることではある。ても言いたくないというのなら……無理やり聞き出すようなことはしたくない。とか思ってたけど、むしろミレナパウスさんは積極的に話してきた。
ここで隠し事をしたら印象が悪くなる……とか思ったのかもしれない。そんなことはないんだけどね。プライバシーとかはちゃんと守るよ。
「私は、人を殺したんです」
『はい?』
なんかいきなり重い言葉を彼女は発してきた。まさかそんな事いうとは……でも、それってどうなんだ? 実際ここは過酷な世界である。人の生き死にってめっちゃ頻繁にある。だからそんなに珍しいことじゃない。だから人を殺したからといって罪になるか? って考えたらそうでもない。それに……だ。それに彼女ミレナパウスさんは教会の『聖女』である。人を殺したってそれが罪になることはきっと100%ないんじゃないだろうか?
『それで、罪に問われたと?』
「罪? いいえ、罪や罰はありません」
だろうね。むしろ一瞬「罪とは?」的な感じで彼女は頭を傾けていた。やっぱり聖女だから何をしても許されるんだろう。てかなんで殺したんだろう? そこも気になる。
『えっと、殺したといいましたよね? なぜ、そんなことを?』
ここで彼女の動機次第では下手したらこのミレナパウスさんは実はペニーニャイアンよりもやばい奴って認定してしまうかもしれない。だって普通は人を殺すなんてないじゃん。いやまあ、ペニーニャイアンも結構気分で人を殺してそうであったから、もしかしたらその感覚だったのかもしれないけどさ……でもそれならやっぱりこの人はそっち側で教会が異常なんて言わないと思う。
なるべく納得できて、さらに言えば仕方ない……とか思える理由ならいいなって私は思ってる