(悪魔をどうにかする……とか出来るのか?)
野々野足軽はアースにそんな事を聞く。なにせエクソシストとかいるじゃん。そういう映画、あったと思う。確かエクソシストとは悪魔と戦う聖職者……とかだったと思うんだけど……そんなのがいるのなら悪魔を退治する術があるということに……あるということに……なるかな? ならないか。
だってあれは創作だし、そういう職業がちゃんとキリスト教にあったとしても、アースの言い方的に悪魔とは貴重な存在で、そしてそれに取り憑かれたとしても、どうにか出来る……感じじゃない。少なくとも、ただの人にどうにか出来る訳はないだろう。
やっぱりこういう悪魔には聖水……とかかな? とか野々野足軽は思うがそもそも聖水だって本当に聖なる水ってなんなのかって事に……
(悪魔がいるなら、天使とかもいるのか?)
ふと思った事を野々野足軽は聞いてみる。だって悪魔の対には天使があるだろう。悪魔という存在が実在してるのなら、天使がいたっておかしくない。
『天使ですか……観測した事はありませんね』
ということは天使はいない? いや、人が変わるような悪魔と違って天使はもしかしたらわかりにくいってだけかも?
(悪魔……あれが……)
とりあえず野々野足軽はもっと細かく悪魔……という存在をつかもうとその女性の身体に力を向ける。悪魔と言う存在は人の心に住まうらしい。実際、心という部位というか、器官はどこにあるのかわかんない。
だから具体的な悪魔の形を掴むというのは難しい。見た目は別に何も変わらないからだ。そんな事を思ってると悪魔が動いた。それは見たことあるような制服の女の子だった。
電車を待つホームに立つ女の子。そこに仮面の男は目をつけた。いや、目をつけたと言うかただ単に「あの子かわいいな」――といっただけ。
けどそれだけであの美女には動く理由になるらしい。
「すみません」
「はい?」
そんなふうに声をかけると美女はこんなふうにいった。
「おめでとう。貴方は選ばれました。あの方の番(つがい)の三番目になれますよ」
そんなの普通は意味不明だろう。けど野々野足軽には見えてた。悪魔の手がその女子高生に伸びてるのを。
「わぁ、そうなんですか? 光栄です」
そう言ってその女子高生は美女についていって、仮面の男のところへ。ふつうそんなのおかしいが、自分を超絶イケメンになってると思ってる仮面の男は簡単に彼女を受け入れる。
「ああーやっぱりこのイケメンは隠せないか」
とかなんとかいってね。そうじゃねーよ! と野々野足軽は言ってやりたかった。