山田先輩は期待できない。まったくイケメンの癖に……と思わず思ってしまう野々野足軽である。山田先輩は全く持って全然悪くなんてないんだけど、山田先輩を朝倉先輩の救出に向かわせることが出来ないとなるとどうするか……頭を悩ませる野々野足軽だ。
(ここで一気に悪魔を消滅……はないな)
野々野足軽ならできなくはない。確実に出来るだろう。けど、その選択肢は今はないみたいだ。なにせあれは悪魔だけど、別に悪魔が人間の姿に変身してる……というわけじゃない。悪魔には肉体はない。魂というか心の隙間に入り込んで、取り付いてる女性を意のままに操ってるのだ。一体どれくらい悪魔に取り憑かれてるのかは野々野足軽にはわからない。
けど、野々野足軽は結構長い期間悪魔はあの女性に取り付いてるんじゃないのか? と考えてた。なにせだ。なにせその境界線がよくわからない。実際はあんなのは初めてだからよくわからないが、試してみたことがある。それはアースである。アースも悪魔と同じようなことが出来るんじゃないのか? と聞くと「出来ますよ」と言ってのけた。
でもそれは疑問でも何でもない。そもそもアースだってあれには肉体はないのだ。いうなればアースの肉体はこの星『地球』である。悪魔までも内包してる、この世界そのもの。なら大抵のことはできるだろうと野々野足軽は思った。出来るといったアースは悪魔がやってるように野々野足軽へと入ってきた。いつもはそれこそ思考をつないで思考のやりとりで会話をしてる二人である。実際普段とそんなに変わることはなかった。ただ、体内に変な違和感? がある感じだった。
けどそれは明確に知覚できるもので、野々野足軽は力を使えばもっとよりはっきりと、それこそ野々野足軽は自分自身とアースという異物を判断することが出来た。それは難しくなかったと記憶してる。けどあの悪魔はどうだ?
(かなり混ざり合ってる……)
そうなのだ。ぱっと見では力を使って強化した視界でさえ、悪魔と取り憑かれた女性を見分けることができない。それはつまりはかなりの長さ、あの女性は悪魔に取り憑かれてるってことだ。アースも言ってた。
『貴方は大丈夫でしょうが、こういう自身の内に他者を入れるのは気を付けた方がいいです。時間が経ちすぎると、混ざり合ってしまうかもしれませんから』