(信用してほしいけど……私だって完全に信用してるかっていうと……)
小頭は自分の本心を心に問いかける。今まで接してきて二人の鬼が決して暴力的な存在ではないと小頭はわかってる。わかってるが、だからって心から信頼してるか?
自身の心に問いかけると、流石にまだそこまで心開いてない――と小頭は思った。でもそれは仕方ないだろう。だって信頼ってやつは一日……いや数時間で得るものじゃないだろう。
それこそ信頼は積み重ね。今はいうなれはようやく鬼たちは「危険じゃない」と小頭にわかってもらえた段階なんだ。つまりはこれから信頼を積み重ねないと行けない状態ということだ。
「絶対にこいつは大丈夫!」
そんな風にいってもらえるのはそれこそ数年は一緒に過ごして「親友」とかの立場になったやつにしか吐けない言葉ではないだろうか。寧ろどんなやつにも「こいつ良いやつでさー」とか言ってるやつは逆に信用できないだろう。
ようは小頭もまだ完全には鬼たちを信用はしてないのに、おばあちゃんの警戒を解くのはなかなかに無理っぽいということだ。
(はあ、とりあえず急ぐことでもない……か。私が仲裁してれば争わないだろうし)
そのために自分はいるんだ――と思うことにした野々野小頭である。何のためにいるのか? という問に、関係の円滑剤と言えるようになろうとおもった。だって小頭は自他共に認める足手まといなのはそのとおりだからだ。
ならば自分にできることは何か? と考えたときにそれしか無いと思った。鬼たちは鬼たちだけでもダメだし、そしておばあちゃんも一人ではきっと足軽を戻す事はできないだろう。
だから両陣営は協力する必要がある。それをなし得るための橋渡し的なパランス調整の役目……それをやるのが自分なのだと、小頭は思うことにしたんだ。
「おばあちゃん、私を信じて」
こうなったらこれしかないと思った。それはいうなれは「孫力〕である。それなんだ? というと、孫力とは孫に抗えないジジ・ババにしか影響しないが、その立場の二人には特攻と言える力。
孫には甘々と言われるジジ・ババは孫の言葉には抗えないのだ。
「そう……ね。小頭がそこまでいうなら……」
――ということで、おばあちゃんは孫力の前にあっけなく陥落した。