uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットのなかだった。(ただし出ることはできません) 運命という世界線を壊せ 830

「ちょっと、もっと伝わるようにしなさいよ」

 

 はっきり言って、こんなただ言葉をぶつけられるようにしても、何を言いたいのかまったくわからない。単語から意味を推察することはできるが……でもそれって私の思い込みの可能性だってあるじゃん? それで勝手に行動したら「思ってたのと違う」とかキレられても困る。

 なのでちゃんと確認しておきたいわけだ。

 

「私が受け入れるかは別だけど、聞くだけなら聞いてあげるから、ちゃんと伝える努力はして」

 

 私はもう一度はっきりとそういった。鬼もそうだけど、こういう世界を支える存在? には意思を伝える方法ってのが欠如してるとおもってる。まあ必要なんてないんだろうけどさ。

 

『限界』『世界』『自身』『代解』

 

 そんな言葉が伝わってきた。ちょっとだけ整理されてる印象は受けた。この厳選された言葉から解釈するにこういうことじゃないかな?

 

「世界は限界を迎えてる。自分ではもう受け止められない。代解としてお前が何とかしろ」

 

 ――である。この龍はもうからっからだからね。なんか寿命が来てる感じがある。実際世界を支える存在であるこいつに寿命があるなんてのは不可解だ。もしもそういうのがあるとしても、きっと勝手に再生する機能とかがある思う。

 

「でもそれももしかしたら世界が正常に回ってたら……なのかも?」

「肯定」「仕組み」「限界」「崩壊」「介入」「破壊」

 

 ふむ……私的にはただの独り言だったんだけど、なんか龍が反応を返してくれた。それにを分析するとこうなる。

 

『肯定する。世界の仕組みは崩壊の危機にある。介入され破壊された』

 

 ってことであろう。ふむふむ、世界の仕組みをぶっ壊すとはなかなかに大それたことをやるやつがいるものだ。きっと教会の奴らだろう。あいつらは何年もこの世界に巣くってる癌みたいな存在だ。あいつら以外には考えられない。なにせ奴らはこの世界が崩壊したら、楽園? への道が開かれると信じてるみたいだからね。

 それにきっと最後の一押しはあの黄金の鬼だと思う。あいつがこの龍からエネルギーを奪ってた。それできっとこの龍は「もうだめだ」とおもったんだろう。

 でも今崩壊されると困る。もしかしら本当にそれこそが教会の狙いかもしれない。そもそもがなんで鬼が黄金になって落ちてきたとかいろいろと疑問点はある。サーザインシャインインラへの波だってそれを起こしたのは十中八九教会だ。

 すべてはつながってる。奴らは太陽に到達して楽園への扉を開きたがってる。そして自分たちだけが楽園へと至れれば、あの世界なんてどうでもいい。

 

「受け入れてほしいってことは、私にあんたの役目を引き継いでほしいってこと?」

 

 私のその言葉に、横たわってる龍はうなづいた。確かにG-01ならそれができるポテンシャルはあると思う。けど……だ。でもそれってこの世界にしばられるだろう。はっきり言って、答えは決まってる。

 

「それは無理」

 

 私はすぐにそう返した。けど、落胆しないでほしい。私はその役目を担えないが、きっとなんとかできるよ。

ある日、超能力に目覚めた件 193P

(うわぁ、やりすぎたか……)

 

 野々野足軽桶狭間忠国の背中…………その中央部分に手を置いている。傍から見るとただそれだけだ。実際これだけ見て、桶狭間忠国の頭がぐちゃぐちゃになってるなんて思わないだろう。ぐちゃぐちゃといっても、力で脳みそを物理的にかき回してるわけじゃない。

 

(いや、もしかしてそういうことも……できるかも)

(できるでしょうね。実験しますか?)

(いやいやいや、そんなことしたら桶狭間は死ぬだろ)

 

 なんとそういうこともできてしまうらしい。でもそれはそうか……と思う。なにせ野々野足軽は手を使わずとも色んなを物を浮かせたり移動させたり――そんなことは当然にできた。物理的に浮かせて移動させることができるんだ。ならそれを……石ころで想像してみてくれればいい。浮かした石ころならそれを回転させることだって簡単だ。それが脳みそでできない道理があるだろうか? 

 実際脳みそは頭蓋骨の中に納まってるわけだが、脳みそはピッチピチに詰まってるわけじゃない。頭には水が詰まってて、どうやら脳みそはその水に浮いてるらしい。もちろん脳みそに接続する神経とかはあるだろう。でもそれもそんな丈夫ではなさそうだ。固定されてないのなら、簡単に脳みそを動かすことができる。実際、今も野々野足軽はそんなに力を使ってない。別に激しく脳みそをグルグルしてるわけじゃない。

 試しにゆっくりと左右に揺らしてるだけである。こんなの実際、野々野足軽的にはなんの力も消費してない程度である。それなのに……

 

「あ……うぁ……がめん……あぁ」

 

 と顔中の穴という穴からいろいろなものを垂れ流してそう懇願する桶狭間忠国が出来上がってる。左右に揺らしたときに、なんか体がちょっと傾いてしまうのがなんか面白い……とさえ思ってしまった。さっきまでは本当に物理的には動かしてなんかなかった。力を使って頭の中身をちょっと混濁させただけだ。

 声をぶつけるのだってきっとあれは脳の内部に音という衝撃を伝えてるんだと野々野足軽は思ってる。けど……だ。けどこれを見る限り、音よりも物理的に脳をいじる方が効果があるかもしれないと思わせる。

 

(すさまじいな)

(人間とはなんと脆弱なんでしょうね)

 

 そんなまさに人間の上位にいるかのような発言をアースはしてる。まあけど、それはアースの場合は間違ってはいないだろうと野々野足軽は思う。なにせアースは地球意思である。地球の意思が独立して行動してるような……そんな存在だ。この星がないと生きていけない人間という種に、生きる場所を提供してるんだから、アースは間違いなく上位なんだろう。

 でも――

 

(やめろ、勘違いしそうになる)

(勘違いなどではないでしょう? なにせ、貴方の手にかかれば、この人間なんて――)

「やめろ!!」

 

 脳内で会話してた二人だけど、アースの言葉に野々野足軽は思わず声を上げた。それに反応するのは生殺与奪を握られてる桶狭間忠国だ。野々野足軽が声を荒げたことに、機嫌を損ねたと思ったんだろう。

 

「ヴぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!」

 

 どうやら桶狭間忠国の何かが決壊したらしい。今までいつだって余裕があった筈の桶狭間忠国が泣きじゃくってる。きっと小さいころから強かったからこそ、桶狭間忠国は本当の恐怖ってやつを知らなかったんだろう。実際、そんな恐怖、野々野足軽だって知らないが……泣きじゃくる桶狭間忠国を見て、なんか面白いな――とちょっと自身の危ない感情の芽生えに野々野足軽を感じてた。

 なにせ桶狭間忠国は学校でもその周囲でも、一目置かれてるというか、恐れられてる。不良とか先輩とかさえ、桶狭間忠国には思わず「すみません」とか言っちゃうくらいには恐れられてるんだ。教師だって、恐れてる節はある。そんな奴に……野々野足軽は明確に勝利したといっていいだろう。それも正面から戦って……だ。

 ずっと野々野足軽は自分を平々凡々な存在と思ってた。そしてそれは今まではきっと間違いなんてなかった。でも力を得てから変わった。今それを……と桶狭間忠国という人間として規格外の存在を簡単に屈服させたことによって、それをようやく野々野足軽は自覚したんだ。

 

「くくっ、あははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」

 

 それを明確に感じたら、思わず笑い声がこみ上げてくるの野々野足軽。泣きじゃくる大男と、その背後にいる高笑いしてる男子高校生の図はそれはそれは異常だったかもしれない。

ある日、超能力に目覚めた件 192P

 桶狭間忠国が恐怖に慄いてる。けど、それでも、桶狭間忠国は最後の抵抗をしてきた。最後にどうやって恐怖に打ち勝つか。それにはどんな方法があるのだろうか? 勇気? 愛……それらはきっと物語の主人公が最後にその心に残ったものがそれだったんだろう。心が屈服しようとしたときに、最後に輝くものこそが、その人の本質かもしれない。

 なら桶狭間忠国はいったい何をもって、最後にともすのか。それは勇気か? 愛か? いや違った。もう一つある。人の心に最後に残る勇気や愛とは違うかもしれないが、どこまでも残るもの。それは――

 

「がはっ!?」

 

 ――そんな声と共に、野々野足軽の体が吹き飛んだ。一体何が起きたのか。桶狭間忠国は口から血が混じった唾を地面に「ペッ」と吐く。でもそれでも桶狭間忠国の口の中は血だらけだった。それだけの痛み、いや負傷じゃないと体の恐怖を取り除けなかったんだ。

 そう、桶狭間忠国は勇気や愛じゃない。痛みで恐怖を克服……いや、ごまかした。さっきまで桶狭間忠国の体で自由に動くところなんてほとんどなかった。それこそ目と口くらいだった。体の可動部分で行動可能な場所で……ということだ。 もう顔の部分しか動かせる部分はなかった。実際のところは、桶狭間忠国なら耳も動かせる。だが、耳を動かしても自身に自傷を負わせることはできない。

 それこそ瞼を動かすことだけでも自傷するのは難しい。一番顔の部位で傷つけやすいのはそれこそ口だろう。別に桶狭間忠国は何かを考えたわけじゃなかった。ただこの恐怖から逃れたかった。だからこそ自傷し歯を使って舌をかんだ。その痛みで一気に覚醒した桶狭間忠国は一気に動いてた。そして拳を振りぬいたんだ。しかも……だ。しかも野々野足軽は分身をしてた。分身しつつ、桶狭間忠国へと向かってたんだ。

 普通なら、それらいくつかの選択肢があったら、どれが本物なのか? と思って本物を見極めようとするだろう。けど桶狭間忠国は違った。たまたま混乱して殴った一体が本物の野々野足軽だった? それはそれはとても運がいいことで……となるだろう。けど違う。桶狭間忠国はその高めに高めた身体能力で一瞬で分身してた野々野足軽全部を殴ってた。本当にそんなことが可能なのか?

 と殴られた本人の野々野足軽だって今かなりダメージを負いつつ思ってた。普通なら一瞬で三体・四体くらいには分かれて見えてた人間を殴るなんてのは不可能だろう。実際一瞬とは言ってるが、数秒はかかってはいる。でもそれを体感した野々野足軽からしたら、それはまさしく一瞬だった。

 

「や……やった……のか?」

 

 野々野足軽はトンネルの壁にぶつかって伸びているように見える。その姿を見て思わずぐっとこぶしを強く握る。口の痛みは感じてないようす。実際はかなりだらだらと垂れてて、血が口から溢れては顎を伝い、地面に血痕を残してる。それはかなりやばい状態に何も知らない人が見たらなるだろうことは簡単に予想できる。けど、幸か不幸かさっきから誰もこの通路を使う人はいないらしい。

 

「はぁはぁ……死んでない……よな?」

 

 ピクリともしないの野々野足軽にちょっと不安を抱いてくる桶狭間忠国。なにせ桶狭間忠国の拳は凶器だ。それを桶狭間忠国はちゃんと知ってる。中学の頃、やりすぎた桶狭間忠国は相手を一回殺しかけたことがある。

 それはかなり噂になって、桶狭間忠国は「やべー奴」というレッテルを張られた。元々この図体と筋肉で避けられてたのに、その噂が決め手になって、中学ではずっと腫れもの扱いされていた。だからこそ高校ではなるべく大人しくしていようと思ってたみたいだ。

 けど流石に死人が出たとなったらそれを隠すのは難しい……こうなったら……と考えてポツリと声が漏れる。

「埋めるか……」

「それは困るよ。てかすぐに犯罪に走っちゃダメでしょ」

「あが……」

 背中に伝わる感触を桶狭間忠国は感じた。そして同時に何やら頭をかき乱されてるような感覚。なんとかまだ意識はある。けどそれをすぐになくなりそうな……

(なん……どういう……)

 そんなことを思いつつ、目の前の野々野足軽みる。するとその野々野足軽はスウっとまるで最初からそこには何もいなかったかのようにきえていく。もう意味が分からなかった。そして頭をほじくり返されてるような感覚。それで悟ってしまった。

(勝てない……)

 ――と。そしてそう思った桶狭間忠国はなんとかこの言葉を紡いでた。

「ご、ごべんば……さい。まいり……ばじ……ばじ……ばし……だ」

 その顔は涙たらたら、鼻水も垂れ流し、口からは血と涎が出てて、顔中の穴という穴からすべての水物が出ていた。もちろんそれは汚らしいかった。

ある日、超能力に目覚めた件 192P

 桶狭間忠国が恐怖に慄いてる。けど、それでも、桶狭間忠国は最後の抵抗をしてきた。最後にどうやって恐怖に打ち勝つか。それにはどんな方法があるのだろうか? 勇気? 愛……それらはきっと物語の主人公が最後にその心に残ったものがそれだったんだろう。心が屈服しようとしたときに、最後に輝くものこそが、その人の本質かもしれない。

 なら桶狭間忠国はいったい何をもって、最後にともすのか。それは勇気か? 愛か? いや違った。もう一つある。人の心に最後に残る勇気や愛とは違うかもしれないが、どこまでも残るもの。それは――

 

「がはっ!?」

 

 ――そんな声と共に、野々野足軽の体が吹き飛んだ。一体何が起きたのか。桶狭間忠国は口から血が混じった唾を地面に「ペッ」と吐く。でもそれでも桶狭間忠国の口の中は血だらけだった。それだけの痛み、いや負傷じゃないと体の恐怖を取り除けなかったんだ。

 そう、桶狭間忠国は勇気や愛じゃない。痛みで恐怖を克服……いや、ごまかした。さっきまで桶狭間忠国の体で自由に動くところなんてほとんどなかった。それこそ目と口くらいだった。体の可動部分で行動可能な場所で……ということだ。 もう顔の部分しか動かせる部分はなかった。実際のところは、桶狭間忠国なら耳も動かせる。だが、耳を動かしても自身に自傷を負わせることはできない。

 それこそ瞼を動かすことだけでも自傷するのは難しい。一番顔の部位で傷つけやすいのはそれこそ口だろう。別に桶狭間忠国は何かを考えたわけじゃなかった。ただこの恐怖から逃れたかった。だからこそ自傷し歯を使って舌をかんだ。その痛みで一気に覚醒した桶狭間忠国は一気に動いてた。そして拳を振りぬいたんだ。しかも……だ。しかも野々野足軽は分身をしてた。分身しつつ、桶狭間忠国へと向かってたんだ。

 普通なら、それらいくつかの選択肢があったら、どれが本物なのか? と思って本物を見極めようとするだろう。けど桶狭間忠国は違った。たまたま混乱して殴った一体が本物の野々野足軽だった? それはそれはとても運がいいことで……となるだろう。けど違う。桶狭間忠国はその高めに高めた身体能力で一瞬で分身してた野々野足軽全部を殴ってた。本当にそんなことが可能なのか?

 と殴られた本人の野々野足軽だって今かなりダメージを負いつつ思ってた。普通なら一瞬で三体・四体くらいには分かれて見えてた人間を殴るなんてのは不可能だろう。実際一瞬とは言ってるが、数秒はかかってはいる。でもそれを体感した野々野足軽からしたら、それはまさしく一瞬だった。

 

「や……やった……のか?」

 

 野々野足軽はトンネルの壁にぶつかって伸びているように見える。その姿を見て思わずぐっとこぶしを強く握る。口の痛みは感じてないようす。実際はかなりだらだらと垂れてて、血が口から溢れては顎を伝い、地面に血痕を残してる。それはかなりやばい状態に何も知らない人が見たらなるだろうことは簡単に予想できる。けど、幸か不幸かさっきから誰もこの通路を使う人はいないらしい。

 

「はぁはぁ……死んでない……よな?」

 

 ピクリともしないの野々野足軽にちょっと不安を抱いてくる桶狭間忠国。なにせ桶狭間忠国の拳は凶器だ。それを桶狭間忠国はちゃんと知ってる。中学の頃、やりすぎた桶狭間忠国は相手を一回殺しかけたことがある。

 それはかなり噂になって、桶狭間忠国は「やべー奴」というレッテルを張られた。元々この図体と筋肉で避けられてたのに、その噂が決め手になって、中学ではずっと腫れもの扱いされていた。だからこそ高校ではなるべく大人しくしていようと思ってたみたいだ。

 けど流石に死人が出たとなったらそれを隠すのは難しい……こうなったら……と考えてポツリと声が漏れる。

「埋めるか……」

「それは困るよ。てかすぐに犯罪に走っちゃダメでしょ」

「あが……」

 背中に伝わる感触を桶狭間忠国は感じた。そして同時に何やら頭をかき乱されてるような感覚。なんとかまだ意識はある。けどそれをすぐになくなりそうな……

(なん……どういう……)

 そんなことを思いつつ、目の前の野々野足軽みる。するとその野々野足軽はスウっとまるで最初からそこには何もいなかったかのようにきえていく。もう意味が分からなかった。そして頭をほじくり返されてるような感覚。それで悟ってしまった。

(勝てない……)

 ――と。そしてそう思った桶狭間忠国はなんとかこの言葉を紡いでた。

「ご、ごべんば……さい。まいり……ばじ……ばじ……ばし……だ」

 その顔は涙たらたら、鼻水も垂れ流し、口からは血と涎が出てて、顔中の穴という穴からすべての水物が出ていた。もちろんそれは汚らしいかった。

転生したらロボットのなかだった。運命という世界線を壊せ 829

 私は今生身でこの場所にいるような気がしてるが……実のところ、私は普通にG-01の機能が使えてる。もちろん今までのようにモニター越しにその情報を見てる感覚ではなくて、なんか視界や脳に直接情報が加えられてるみたいな? そんな感じだ。まあけど違和感はない。なにせシンクロ率100パーセントになるとこんな感じだからだ。

 なので馴染みがあるからこれ自体は簡単に受け入れることができる。でもそれでもシンクロ率100パーセントでもこんなふうだっただろうか? 確かにシンクロ率100パーセントは完全にG-01が私の体なのは確かだ。けど手とか見たら、それは私の体……つまりは私の手が見えるんじゃなく、もちろんだけど、G-01の手が見える。あたりまえだけどね。

 けど……だ。私はそう思って私自身を見下ろした。いやまあそうしても見えるのは白い光に包まれた私の体なんだが……でもそれが今までと明らかに違うのだ。

 

「なにか脳に干渉でもされてるの?」

 

 そんな風に思ってしまうよ。だって確かに光に包まれて完璧には見えないが、この華奢さ……そして胸の盛り上がり具合はいつも見てる自分の双丘なんだよね。だっていつも見てるから、どのくらいなのかはよくわかってる。それに……だ。

 

「あるんだよね」

 

 実際光に包まれてるとはいっても、ちゃんともめる。そしてその感触だってある。やっぱり私は強制的にG-01の外に出された? いやいや、それは考えづらい。だって私という存在はG-01によって支えられてる。実際外に出たいとは思ってた。まあここが外なのはかどうかとして……いつかは……って気持ちは確かにあった。

 実際問題、私はあそこでしか生きられないんじゃないんだろうか? という感覚もあったのだ。私につながってた管とかなんかを考えたり、そもそも私は食事を必要としなかったり、排泄物だって……ね。極端にない。私はきっと普通の生物ではない。そう思ってた。だからもしかしたらコクピット内から出た瞬間に、私はドロドロに溶けてしまうんじゃないか? という想像だってしてた。

 なにせ私に関する情報はG-01でも見れないんだよね。もちろんだけど、健康状態をモニタリングはできる。けどそれは現状健康か、そうじゃないかを判断できることしか伝えてくれないんだよね。G-01にしてはどう考えても情報が極端に少なくされてる。そしてそれにアクセスする権限は私にはない。

 

 それらを考慮すると私が外に出された……とは考えられない。きっとこの龍が私の精神に干渉してきてるんだろう。こんな状態で、それをやってくる意味。実際ここが精神干渉の世界なら姿かたちなんて自由自在のはずなのに、わざわざ弱ってる姿を見せてるとしたら……なにか切実に伝えたいことがあるんだろう。

 それか同情を誘いたいとか? とりあえず私はは意を決して横たわる龍に近づく。そして私が見上げないといけないほどに大きな顔の前に来ていってみた。

 

「なにか伝えたいことがあるのかな?」

 

 すると龍がその目をあけてこっちみる。そしてわずかに息を吐く。わずかだけど、すごい空気がでてくる。まあサイズがサイズだからね。それから言葉を紡ぐのかと思ってたら、なんか反響するような声がたくさん聞こえてきた。

 

「「「世界」」」「「「限界」」」「「「崩壊」」」「「「足りない」」」「「「役目」」」「「「不可」」」「「「支え」」」「「「譲渡」」」

 

 やらやら、なんかたくさんの言葉がこの空間に響く。

ある日、超能力に目覚めた件 191P

「もうやめとけよ」

 

 そんな言葉が桶狭間忠国の耳には入ってきた。そんな言葉を聞いて、黙ってられないのが桶狭間忠国という男だ。なにせ桶狭間忠国は目立たないようにしてるが、自分に自信がなくて、周囲にびくびくとしてるような奴じゃない。

(自分が話しかけたって……)とか(迷惑なんじゃ……)や(絶対に笑われてるよ)とかいう被害妄想で自信がないから教室で大人しくしてるわけじゃないのが桶狭間忠国だ。その鍛え抜かれた肉体、そして磨き抜かれた格闘技術。それらはいつだって桶狭間忠国に自信をくれる。実際、桶狭間忠国は喧嘩とかで相手を恐ろしいと思ったことなんてない。

 それがたとえ上級生でも、何かスポーツをしてたとしても、それに不良でもチンピラでも、ネジが一本はずれてるような奴がナイフをもってその切っ先をベロっとしてた時だって、桶狭間忠国は恐怖なんて感じなかった。

 

 そしてそれを証明するように、今まで対峙してきた奴らは次の瞬間には桶狭間忠国のそのこぶしのもとに一撃で地に付してきたんだ。でも……今はそれらの輝かしい過去が本当にあったことなのか? と思えるほどにガタガタと震えそうだった。それを必死に桶狭間忠国は抑える。

 本来なら、体の内からくる震えを押さえつけるなんてことはできないだろう。なにせなんで震えてるのか、どうして体がそんな動きをするのか、普通はわからない。なんとか震えを止めたくても、そう意識すると余計に震えてきたりするものだ。でも桶狭間忠国はそれを成してた。

 これまでずっと、筋肉と対話してきた男――それが桶狭間忠国である。それが無理やりにでも震えをとめるということを成しえてた。

 

(ありえない……自分が……こんな……)

「もう一度いってやるよ。もうやめようぜ」

 

 そういって野々野足軽が壁から離れた。そして歩き出した。野々野足軽はやけに歩く音を響かせながら、桶狭間忠国の方へと歩いてくる。トンネル内だからとか、二人きりの空間で、そして異常に桶狭間忠国が緊張状態にあるからとか……色々な言い訳は考えられる。ただただ、桶狭間忠国がそう感じてるだけなのかもしれない。

 けどそれはつまり……

 

(そんなバカなバカなバカな!! そんなことあり得る訳が……だってずっと鍛えてきた。向き合ってきた。そして、僕は……僕のこの体は自分を裏切ったことなんてないんだ!!)

 

 そう思って、強く強く桶狭間忠国は近づいてくる野々野足軽を見つめる。動かない体に、やけに大きく聞こえる足音……そしてさらに桶狭間忠国には驚愕の光景が目に入った。そして思わずカタカタと震えを止めきれずに鳴り出した口からこんな言葉を紡いだ。

 

「なんだ……それは……」

「なんだって、なんだよ。ただ、歩いて影分身してるだけじゃないか?」

 

 しっとりと耳の奥をなめるようなかのように、野々野足軽の言葉が桶狭間忠国の耳を、脳を侵食してた。

 

「あっ……あぁ……」

 

 何かを言いたかったのだろう桶狭間忠国の口から次に漏れ出たのはそんな言葉にならない声だけだった。それだけ桶狭間忠国の頭は限界に近づいている。

ある日、超能力に目覚めた件 191P

「もうやめとけよ」

 

 そんな言葉が桶狭間忠国の耳には入ってきた。そんな言葉を聞いて、黙ってられないのが桶狭間忠国という男だ。なにせ桶狭間忠国は目立たないようにしてるが、自分に自信がなくて、周囲にびくびくとしてるような奴じゃない。

(自分が話しかけたって……)とか(迷惑なんじゃ……)や(絶対に笑われてるよ)とかいう被害妄想で自信がないから教室で大人しくしてるわけじゃないのが桶狭間忠国だ。その鍛え抜かれた肉体、そして磨き抜かれた格闘技術。それらはいつだって桶狭間忠国に自信をくれる。実際、桶狭間忠国は喧嘩とかで相手を恐ろしいと思ったことなんてない。

 それがたとえ上級生でも、何かスポーツをしてたとしても、それに不良でもチンピラでも、ネジが一本はずれてるような奴がナイフをもってその切っ先をベロっとしてた時だって、桶狭間忠国は恐怖なんて感じなかった。

 

 そしてそれを証明するように、今まで対峙してきた奴らは次の瞬間には桶狭間忠国のそのこぶしのもとに一撃で地に付してきたんだ。でも……今はそれらの輝かしい過去が本当にあったことなのか? と思えるほどにガタガタと震えそうだった。それを必死に桶狭間忠国は抑える。

 本来なら、体の内からくる震えを押さえつけるなんてことはできないだろう。なにせなんで震えてるのか、どうして体がそんな動きをするのか、普通はわからない。なんとか震えを止めたくても、そう意識すると余計に震えてきたりするものだ。でも桶狭間忠国はそれを成してた。

 これまでずっと、筋肉と対話してきた男――それが桶狭間忠国である。それが無理やりにでも震えをとめるということを成しえてた。

 

(ありえない……自分が……こんな……)

「もう一度いってやるよ。もうやめようぜ」

 

 そういって野々野足軽が壁から離れた。そして歩き出した。野々野足軽はやけに歩く音を響かせながら、桶狭間忠国の方へと歩いてくる。トンネル内だからとか、二人きりの空間で、そして異常に桶狭間忠国が緊張状態にあるからとか……色々な言い訳は考えられる。ただただ、桶狭間忠国がそう感じてるだけなのかもしれない。

 けどそれはつまり……

 

(そんなバカなバカなバカな!! そんなことあり得る訳が……だってずっと鍛えてきた。向き合ってきた。そして、僕は……僕のこの体は自分を裏切ったことなんてないんだ!!)

 

 そう思って、強く強く桶狭間忠国は近づいてくる野々野足軽を見つめる。動かない体に、やけに大きく聞こえる足音……そしてさらに桶狭間忠国には驚愕の光景が目に入った。そして思わずカタカタと震えを止めきれずに鳴り出した口からこんな言葉を紡いだ。

 

「なんだ……それは……」

「なんだって、なんだよ。ただ、歩いて影分身してるだけじゃないか?」

 

 しっとりと耳の奥をなめるようなかのように、野々野足軽の言葉が桶狭間忠国の耳を、脳を侵食してた。

 

「あっ……あぁ……」

 

 何かを言いたかったのだろう桶狭間忠国の口から次に漏れ出たのはそんな言葉にならない声だけだった。それだけ桶狭間忠国の頭は限界に近づいている。