「こんな物が神の使いなど……我らは認めては居ない!! なにか言ってみろ!!」
むむ……言っていい? これは私が喋れるって自白するタイミングではないだろうか? この成金ハゲもいい加減五月蠅いしね。はっきり言ってそろそろ聞いとくのが面倒……ラパンさんもこいつらにはあまり強く出れないみたいだしね。
彼にはこの街を治める立場って物がある。それがきっと足かせなんだろう。偉くなるってのも考え物だね。でも私にはそんな立場なんて関係ない。そもそもこいつらが束になって掛かってきても打ち負かす自信があるしね。そろそろこいつらにはお灸を据えないと……とも思ってた。
『解析できました』
「うん、それでやっぱり突如増えたこいつらって?」
『そうですね。力で生み出した人形の様な物です」
やっぱりか……ネナンちゃんを助ける時に、デカい奴も握ったが、そいつは砂の様に消えたからね。私の内に眠る力が敵を砂に変えてしまったんでは? とか思ったが、いやいやそんなわけないよね。どうやらいきなりあの変な格好の集団が増えたと思ったけど、砂人形で水増ししてたようだ。でも同じような格好に見えてるのはどうしてなんだろうか? 砂でどうやって再現してるのか不明だ。
『かなり術式的には未熟と言わざる得ません。見た目を重視してる分、戦闘能力は高くはないようですし、もろさも解消できていない問題ですね』
「元々、脅しにでも使う気だったのかな?」
砂だから脆いのはわかる。AIの話しを聞く限り、元々荒事に使う力ではないのかも? この宮殿内に居た奴らの中にはその砂の人形はいない。まああの成金ハゲみたいなのが自分の周囲の取り巻きを減らすとは思えないしね。でもあの大きい奴は明らかに周囲よりも威圧感があったけど……見せかけだけだったのだろうか? そんな力しかないのに、こいつはなんでそんなに余裕ぶってられるのか……謎だ。イラッとする。思わずプチッとしたくなるね。
「ふん、ただのデカ物か。主がいないと何も出来ないのだろう。くくく、こやつを我らが貰ってやろう」
なんか言いだしたぞ。こういう自分は偉いと勘違いしてる奴ってなんで世界が思い通りになるって思っちゃうんだろう……頭痛い。
「聖印を刻んでやる」
そう言って成金ハゲは取り出したナイフに何かを塗ってる。
「それはダメです。彼等の怒りを買いますよ!」
「ふん、そいつらに目に物みせてやるわ。帰って来たら、自分たちのオモチャが私の物になっていて驚くだろうな」
私の周囲を囲んでる変な格好の集団が何やらブツブツ言ってる。
「さあ、私の聖印を刻み私の物となれ!!」
何かを塗ったナイフを地面に突き刺す。一応石畳の筈だが、なんか何区無く刺さってた。そしてそのナイフから何やら気持ち悪い模様みたいな物が地面に広がって地面と接してるG-01の足からそれが這い上がってきた。
「うわ!? 気持ちわる!?」
私は思わずそんな声を漏らした。