あれから二日くらい経つと勇者が一人で帰ってきた。一人って所にラパンさんを初めとしたこの世界の面々は落胆していた。
まぁこの過酷な世界だ。送り出した物達の帰還率なんて推して知るべし何だろうね。だからこそ最初こそ暗かったけど、でもそれは勇者の報告で反転した。
「我等ジャルバジャルを解放せし」
その勇者の言葉に最初は誰も何も返せなかった。というか、多分頭の理解が追いついてないみたいな?
私は勇者と魔王との繋がりが強いから、ある程度の距離に近づいた時点で報告来てたからね。
今回の事は中々良い実験だったよ。取り敢えず徐々に頭の理解が追いついて来た人は喚起の雄叫びを上げる。どうやらよっぽど嬉しいらしい。
なんか今まで砂に沈んだ街を取り戻したことはないらしいからね。このくらい喜ぶのも何もおかしな事じゃないか。そんな中、ガシッとラパンさんが勇者の手を握った。
「ありがとう」
その言葉には万感の思いが込められてるように感じた。そもそもがラパンさんってジャルバジャルを見捨てたんだよね。それは勿論、統治者としての立場からそれを決めたんだと思う。時間的に無理があったとか、戦力差を考えるとどうしてもって感じだったのかも知れ無い。
でもだからって後悔がなかったわけじゃないだろう。今回の事で、彼なりに何か重荷がちょっと下りた様な……そんな気持ちの変化でもあったのかも? まあ勇者の言葉を聞く限り、戻って来たのは街だけで、そこで暮らしてた人達はもれなく死んではいるんだけどね。
でもそれでも……なんだろう。それでもジャルバジャルが戻ってきたことはとても大きな事だと言う事だ。
「直ぐに物資を届けさせよう。もう一度、砂獣に襲われないように、戦力も向かわせねばならないだろう……」
とりあえず一先ず物資を集めれるだけ集める事は直ぐに決まったが、護衛の兵となると……なかなか揉める。なにせこのアズバインバカラだって絶対に安全って訳じゃない。まあ今はG-01が居るから多分この世界では一番安全だと思うけど、ラパンさん達には流石にそこまで私に頼るなんて事は出来ないんだろう。
まあそもそもそこまで……なんておもって無いだろうしね。とりあえず護衛は一部隊と、勇者がまた行くことになった。一部隊なんてあってないような物だ。でもまあ、勇者が同伴すれば問題は無いだろう。そもそもが私とかが運べば、倍の物資を簡単に運べるけどね。それに安全に。
でもその案は出てこない。ラパンさんとかお偉い人達は頭だって良いはずで、その案をひらめいてる奴がいないなんて事は無いと思う。けど、皆言わないのは、やっぱり私に……というかG-01に恐れとかがあるからだろう。まあいいけどね。なにせそんな面倒な事――
「すみません、少しよろしいですか?」
――勇者の奴がこっちをチラッとみて、何やら頷いていた。いや、めっちゃ嫌な予感する。いやいや、ダメだよ? 勇者だけに正義感の塊の様なあいつの行動が読めちゃうよ。私はとりあえず耳を押さえておいた。