中央が絶対に崩れない理由……それは――
「この地には神が降り立ったのです。そして此の地を私たちに献上しなさった。ですからこの地は特別なのです」
――ローワイヤさんは両手を組んで、まるでお祈りでも捧げる様にそういった。なるほど……俺は別の人達をみる。賞金稼ぎの奴らに、メイドの人たち、皆さん頷いてる。
どうやら、そういうことだという風に広まってることらしい。事実かどうかはともかく……この世界に神は多分いると思うが……こんな厳しい世界を作ったのもその神様の筈。なのに、そんな場所をわざわざ用意するのか? って気もする。まあ神のかんがえなど、俺達には図りようも無いのかもしれないが。
「それは……本当のことなんですか?」
「勿論ですよ。なのでこの中央に砂獣がやってきた事は一度もありません。それは此の地が神の加護を受けているからです」
「なるほど……でもそれは土地に対してですよね?」
「はい? どういう事ですか勇者様?」
僕の質問にローワイヤさんが首を傾げる。いやまあ、何歩か譲って此の地に神の加護があるのは別にいいとしよう。そういう土地は俺の世界にもあったしな。でもそれはその土地が豊穣であり続けたり、まあそれこそ魔を退ける特性を持ってたりだ。
中央には確かにそれがあるのだろう。でも……それは土地に与えられた加護であって、建物に付与されるものじゃないだろう。神様の加護も勝手に建てた建物にまで、何か特別な力を与える……なんてしないだろうし。実際、このボロボロの壁とかには、全然特別さはない。
「確かにこの中央には神の加護があるのでしょう。でもそれは土地に対してであって、この地の建物にまで特別な何かを付与してるわけではないでしょう?」
「いえ、してますよ?」
「そうなんですか?」
「ええ、この土地に建てられた物は倒壊した事がありませんから」
そうローワイヤさんは自信満々にいう。この人の知識って偏ってるからな……どこまで信じて良いのかよくわからない。それにこれは中央の歴史的な一面がある。なので今回は賞金稼ぎの連中やメイドさんたちに聞いてもわからないだろう。なら……
「そうなのか?」
俺は仮面の奴らに聞くことにした。まあコイツラが本当の事をいうか保証はないが、この地にとても誇りみたいなのを持ってるみたいだし、名誉の為に本当の事をいうんじゃないかな?
「その通りだ。貴様は我らが神を侮ってるようだな。我らの神は此の地のあらゆる物に籠をくださってるのだ」
「へえー」
気の抜けた返事をしてやったら明らかに何やら不機嫌そうになった。いやだって、それ既に矛盾してるぞ。だって、この一番土台のところには少なくとも力のかけらも感じない。神様までも、選別してるのか? それは随分と狭量な神と言わざるえない。
てか、案外コイツ等ペラペラとシャベルな。それでいいのか?