「なんたコイツ等? 気持ち悪い。というかその仮面が気持ち悪いんだよ。取ってやる」
「あっおい」
取れないよって教えてやろうと思ったが、時既に遅く、賞金稼ぎの一人が仮面の奴の仮面に手を掛けた。
「んな? なんだこれ? とれないぞ?
「やめ……やめんか土人め!!」
そう言って仮面の奴が頭を振って抵抗してる。ふむ……まあやっぱり賞金稼ぎの奴が仮面に手を掛けても外れることはないみたいだ。流石に賞金稼ぎの奴らにまで仮面は素直にはなってない。これはちょっとした好奇心だった。
「そういえば、その仮面はどうなってるんだ?」
だってこの仮面、もう顔に癒着してるぞ。絶対に取れないと思える。それとも魔法のアイテムなのか? それなら何か呪文的な文言で外れるとか?
「これが、我らだ。我らに個はなく、ただ信仰の為に……太陽へ至る道を征く者なり」
「……お、おう」
怖い……なにそれ。宗教が極まってるなほんと。てかそれってその仮面の仕組みじゃないじゃん。あまりにも常軌を逸した返しだったから、一瞬もういいか――とか思ったが、よく考えたら何もわかんない。
いや、なんとなく推測することは出来る。さっきの言葉的から推察するなら、たぶん彼らはその組織? か部隊とかに入ったときに個という物を消さなければ池なんだろう。だから仮面をつける。
仮面をつけて個をなくしてるんだ。でもわかったのはそれだけ……もっと深い事をしりたい。その仮面の事とか。
「それでその仮面は取れないのか?」
「これは覚悟のあかし。自分の全てを捧げる証明だ」
ひえーだよ。コイツ等、言葉を発する度にヤバい思考が垂れ流されて来るな。うーん喋るのがなんか辛い。同じ信仰度合いの奴らなら、きっと盛り上がる会話も出来るんだろうけど……俺はあいにく、この世界の宗教は詳しくない。
だから宗教に染まった言葉って奴に「うわぁ」っていう反応しか返せないっていうか……まあつまりはこの仮面は取れないって事がわかった。
「お前たちの目的はローワイヤさんだよな? 誰からの指示だ?」
「にぎ……が……」
既に今までも素直に喋ってるから無駄だとわかってるだろうに、それだも魔法が掛かってるのに、なんとか抵抗しようとしてるその精神力は素直に褒めたい。
けど無駄だ。
「ペニーニャイアン様……だ」
舌噛みそうな名前だな。するとそれを聞いたらしい馬車の中のローワイヤさんが「そんな……」とか言ってた。
「わかったかそういう事だ」
どういう事だ? そう思ってると、ローワイヤさんが馬車の中から告げる。
「ペニーニャイアンは私達が今向かってる場所の主であり、もう一人の神託の巫女です」
うーん、中央が魔境すぎるな。どうするんだこれ。