流石に面倒になってきた。複雑怪奇な道を進み、どこからか狙われてるローワイヤさんを守る。いや、守るといっても何かするわけじゃない。馬車に結界を張ったから、遠くからどうにかするような事はほぼ無効化できてる。一応歯でな事はできなさそうだからだ。でもそうなると、今度は外側に向かってくるんだ。つまりは対象は俺や賞金稼ぎの奴らだ。こうなったら全員馬車の中に入っててほしいくらいだ。
一応賞金稼ぎの奴らには狙われていて、攻撃も受けてると言ってるが、いかんせん反応できてない。無理もないんだがな。なにせ敵の攻撃は基本、針だ。見えない場合が多い。それでも危機くらいは感じて欲しいところだが、でもあまりにビクビクしてても、それはそれで、不自然になる。そうなると……ね。周囲から浮くことになる。いや、既に十分浮いてるけどね。なにせ中央はアズバインバカラやジャルバジャルと服装が全然違う。アズバインバカラもジャルバジャルも周り砂漠の乾燥地帯で暑いから合理的に露出多めの涼し気な格好をしてたわけじゃん。
中央だってその環境は変わってない。変わってないはずだけど、みなさん結構かっちりと着込んでる。今までのヒラヒラスケスケの格好じゃなく、普通の厚さの生地の服をきてる。そして着崩してる人ってのがいない。アズバインバカラとか服なんて大体適当に着て、大事な部分が隠れててればそれでいい……的な感じだった。でも中央は違うようだ。女性なんて肌を見せないようにしてるとしてかおもえない丈のスカートとかだ。それに一部の人は、顔にベールを垂らしてる。
どうやら協会関係者はああっやって顔を見せないようにしてるらしい。特に女性は。ああいうのが普通にいるから、どこから攻撃されてるかわからない。
「なんかおかしい……」
そんな気がしてきた。俺達は城の方へ……つまりは高級な方へと向かってたはずだ。そしてちゃんと標識に従ってきた筈。なのに、どんどん地上にむかってるぞ。ローワイヤさんの話では、中央は上の方が立地的に高く、偉い奴らが集まってるらしい。そして地上には……貧乏人が集ってると……ローワイヤさんはそんなの見たことないらしいが、そういうふうに聞いてると言っていた。
(これだけ複雑な道だし、一回降りて上がるようなこともあるかも……だけど)
自分が考えてやっぱりないな……と思った。だって偉い奴らは、みすぼらしいものを視界に入れたくないものじゃないか? そういう奴ら、多いと思う。なら、なるべく道が交差するようなこともしないと思う。ということは……これはどこかで道を間違えたか?
でもちゃんと標識に従ったはずだ。もしかしたら標識が間違ってる? いや、でも普通に他の人もいたぞ? もしかしたら間違ってる事が常識とか? 流石にそんなことはないと思う。それに今は不自然なくらいに一本道だし、なんか下にいくに連れて道も狭くなってく。このままじゃ切り返すこともできないぞ。
(誘われてる……と見たほうがいいよな)
自分のミスを考えることは簡単だ。でも状況的に、これは多分罠……でも流石にそろそろ煩わしかったし丁度いいと考えよう。道案内してくれるやつを手に入れるんだ。俺は心配そうに賞金稼ぎ達を安心させながら、馬車を進めた。