俺は黒い鏡へと腕を突っ込んでる。その光景にようやく気づいた隣の奴が「うわっ!?」とか言って立ち上がった。なるべく邪魔にならないようにどいてくれたんたろう。俺は床につくような態勢で、必死に手を動かしてるが感触はない。やっぱりすでにかなり落ちてるようだ。すでに数秒経ってる。そうなると、すでにって感じでもあるが、俺は自分の力を溢れ出した。
「それは!!」
なんかそんな声が聞こえたが、無視する。今はそれどころではない。俺は自分の力をこの黒い鏡に浸透させる。
(術式はかなり違うが……俺だって元の世界の魔法の知識ならそれなりにある。細かいことまではわからないけど、それでもこの体になって、かなり制御は細かく出来る様になってるんだ)
俺はこの黒い鏡を自分の力で侵食して、そしてその制御を奪うつもりだ。普通そんなのはこの術式を完璧に理解した上で、更に術者よりも強い力が必要だろう。まあ強い力はクリアしてると思う。だがこの術式事態はわからないことだらけだ。でも要所要所はわかる。その部分を一時的にでものっとれば、この黒い鏡の制御を乗っ取れるだろう。
だからこそに多大な力を流す。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
黒い鏡から、白い光が漏れ出してる。俺の力だ。俺の突っ込んだ手はまだ何を掴んでない。けど、俺は握る。離さないとばかりに握りしめて言った。
「開け!!」
すると食事が置いてあるテーブルの上に白い鏡が現れた。そこから落ちた筈の賞金稼ぎの一人が落ちてきた。テーブルの上の料理とか皿が盛大に周囲に飛び散る。こちら側も向こう側も女性たちが悲鳴を上げてる。
「はれ? 俺……」
「まだ生きてたようですね。なら、早くこっちへ」
『あわわわ、すすす、すみませんでしたぁ!!」
そうペニーニャイアンへと頭を下げた彼は俺の方へと慌てて転がるようにしてやってきた。まあ俺の側が一番安全たしな。その判断は間違ってない。そして視線を動かして、皆を俺の背後に集める。微妙に距離があったんじゃやりづらい……というか守りづらい。だから皆を集めて背後に置いとく。これなら、大抵の場合なんとかなるだろう。
「うわーベチャベチャだよー。でも面白かったね。なんで、あの人だしたのペーニャ?」
「だしてない」
ピローネの言葉にボソッとペニーニャイアンがいった。けど多分それが聞こえたのは俺だけだろう。ピローネが見てるのに気づいたペニーニャイアンはにっこりと微笑んでこっちをみた。
「無礼が過ぎるんじゃないですか? この惨状、どう責任を取るおつもりですか?」
テーブルの上の物が散乱したのは不可抗力だが……それを言っても意味はないだろう。なにせペニーニャイアンにとっては理由はなんでもいいんだ。ここは強めにいくか? と思ってると、ローワイヤさんが前にでようとしたから、俺はそれを止める。前にはでないでほしい、とりあえず隣でローワイヤさんにはペニーニャイアンへ声を掛けて貰おう。