「やっぱり貴女は捨てて正解だったみたいね」
その言葉がこの部屋へと響いた。確かに俺達はそれを聞いた。わかってた事だ。だけど、やっぱりローワイヤさんはショックなのか、ちょっと震えてる。それはそうだろう。だって俺たちは元々この人、ペニーニャイアンを頼るつもりだっだ。それはローワイヤさんが彼女なら信頼できると、そう言ってたからだ。実際ラパンさんはそれに懐疑的だっみたいだったが、ローワイヤさんはペニーニャイアンを信頼してた。
そして信頼って奴は一朝一夕で築けるものではない。俺達はペニーニャイアンとはなんの面識もないし、ここまで来る途中のことで、ヤバい奴――という図式が出来上がってた。だからこそ、別段ペニーニャイアンのこの発言も「ようやく本性あらわしたか」という認識だ。
でも、ローワイヤさんはどこかでまだ、ペニーニャイアンの事を信じてたのかもしれない。ここで俺が一度黒い鏡によって襲われてる話もしてるが、それでもローワイヤさんはペニーニャイアンを切り捨てることはできてなかったって事だ。つまりはそれだけの絆がある――とローワイヤさんは思ってた。
(でも、どうやらそれはローワイヤさんだけ……だったみたいだけど)
ペニーニャイアンはローワイヤさんの「何を……いってるのですか?」とかいう、言葉に続けてこう返す。
「捨てて正解と言ったのよ。本当なら貴女はここにいるべき人間じゃない。太陽の元に召されてないと行けないの。だってそうしないと、ピローネがその後釜に入れないじゃない」
さらっと爆弾発言をしてるペニーニャイアン。ピローネがローワイヤさんの代わりだと、そう言ってるんだ。つまりは――
(もしかしたら、ローワイヤさんが見限られるような何かをしたから、ピローネをローワイヤさんの地位にすげ替える為に、彼女自身を葬り去ろうとしたのか)
――俺はそう考えてピローネを見る。てかピローネはソレをしってるのか? 知ってたら、最初見た時の様なフレンドリーさというか無邪気さでローワイヤさんに接せれないような……
「そうだよローワイヤちゃん。早く死んで、私にその場所譲ってよ」
「何……言ってるのピローネ? 私たち……昔から知ってる仲でしょ?」
ローワイヤさんの声は震えてる。でもピローネの奴はキョトンとしてる。そして無邪気な笑顔でこういうよ。
「うん、でも仕方ないよね。だってローワイヤちゃんは巫女にふさわしくないんだもん。だから私がローワイヤちゃんの代わりに巫女になるの。もっと皆が私をちやほやしてるよ。ヤッター」
その言葉に、ローワイヤさんが死ぬって事に関することは何もなかった。ただ、ピローネは純粋にその地位と特権がほしいみたいだ。それも子供として純粋に……多分だけど、ピローネは死と言うものをとても軽く捕らえてる。そういう教育をされてる。そしてもちろん、それをしたのは……俺はペニーニャイアンは見据えて、ローワイヤさんを庇う様に前に出る。