uenoutaの日記

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転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 282

 一人は無力化した。だが、まだ三人いる。そいつらは「血浄」を使ってその剣を赤く輝かせてる。
 
(血浄を使ってるとなると,やっぱり正規の騎士なのか?)
 
 俺のイメージでは協会は血浄とかよリも魔法を高尚だと思って使ってるイメージがある。てか協会が血浄を使ってのを見たことないってのはある。だからこいつらはただ単に金とかに靡いた奴らなのかなと……血浄はこの世界の身体強化みたいなものだ。あとは武器の強化も同時に行える優れものだ。
 
 血を使うから流石に乱発はできないが、それもそこまで多くないし、この世界の人たちには標準的に頑丈だしな。使い勝手がいい力だと思う。まあけどただ漠然と力を使うだけでは弱い砂獣にしか通用しない。なんだってそうだが、力に思考性を持たせるようになるのが一人前かどうかの境目だと思う。
 その点をいえば、この騎士達よりも賞金稼ぎの奴らの方が血浄を使うの上手いと思う。なにせ使う機会が多いというか……単純に慣れの問題もあるだろうとは思う。なにせここは中央だ。そして王宮である。こんなところにいる騎士が日常的に砂獣と戦うか? と問われたら多分戦わないと思う。なにせここは中央だし、この人たちその中でも王宮勤だぞ? 外になんて行かないだろう。
 なら血浄を鍛える機会もないだろう。だからこんなもん……それだけだ。
 
「「「うおおおおおお」」」
 
 ガシャガシャと鎧を響かせて動く騎士達。その動きは案外早いが、これも血浄の効果だろう。それでも俺には届かない。取り敢えず俺は一瞬で奴らの剣−−だけでなく、鎧までも砕いてそして騎士達を素通りしてポンとペニーニャイアンの肩に手を置いた。
 
「え?」
「「「うああああああ!?」」」
 
 鎧が一瞬で壊された騎士達はなんとパンツ一丁だった。なんでだよ? 普通中にも装備はあるだろう。それこそ鎖帷子とかさ。逆に鎧に直接肌を触れさせるとかあぶいなと思うんだが? いや、こういうところがこいつらに実践の経験がないってことを証明してるのかもしれない。
 そしていつの間にか隣にいる俺にペニーニャイアンはガチガチと震えてる。
 
「さて、帰りましょうか?」
 
 あんまり手荒なことはしたくない。別にそれはペニーニャイアンを思ってのことではない。なにせこいつはまだまだ使えるからだ。色々と聞いてるが、その全てを理解したわけでもない。なにせ俺にはこの世界の知識がそんなにないからだ。よくわからない単語もいっぱいあったしな。
 それらを確かめるためにも、王様達の前でまた話をさせないといけない。これ以上優雅に眠っててもらっても困る。
 だから俺はペニーニャイアンを肩に抱えて抵抗できないようにした。背中をポカポカと叩いてるが、そんなの全然痛くもない。
 
「あなた達! 私を早く助けなさい!! 報酬を倍にするわ!!」
 
 その言葉に揺らいだ騎士達は無謀にも俺に拳を向けてくる。アホなのか? と思うが、金で思考が鈍ってるんだろう。きっとあの頭は皮算用でいっぱいなんだ。そしてそんな頭で戦闘なんてする物じゃない。キレなんて全然ないし、死にたがってるとしか思えない。殺してもいいが俺は勇者だ。
 その意味はこの世界では理解されてないが矜持はこの胸にある。だから取り敢えず騎士達に触れて奴らの力をかき乱して置いた。力は確かに自分のためにある物だが、それがおかしくなったら病気や不調に繋がる。さらに自然ではあり得ないくらいにその力を不規則的にできるのなら、その気持ち悪さは想像以上だ。
 
 体は内部から崩壊するように痛み、頭はグワングワンと揺さぶられて、内臓はうちにあるものを吐き出そうとするだろう。精々苦しんでればいい。
 俺はペニーニャイアンを抱えてその場を後にした。協会側のペニーニャイアン奪還はここに阻止されたんだ。