頭上にさんさんと輝く真っ赤な太陽。それが私たちの体を焼く。更に熱せられた砂も熱くて、その砂が皆さんの体に覆い被さってるから、まるで蒸し焼きのようになってるかもしれない。
成ってるかもしれないとか人ごとみたいに言ってるのは、勿論私には関係ないからだ。なぜかって? それは勿論私はその炎天下に晒されてないからだ。なにせ私はG-01のコクピットに居るのだ。さんさんと照りつける太陽の下になんか居ない。しかもこのコクピット内はいつだって快適な空間になってる。
だから暑いも寒いもない。とりあえず皆さんを救出した方が良いだろう。
「ちょっと試してみますか」
私はそう言って二つの刃を逆さに構える。そしてG-01の腰を中腰にして、左足を下げる。そして全ての埋まってる人達をセンサーで見つける。
「影響がないようにしないとね。G-01は力の調整が難しいんだよね。でもこの勇者の剣なら案外出来そうな気がする」
これがもしも魔王の武器だったらやろうとは思わなかったと思う。だって魔王だとね……絶対に暴れ馬……いやじゃじゃ馬じゃん。そんなの使ってると、こういうことやろうとは思わないよね。
なんとなく出来そう、とかも思わないだろうけど。
「いっくよー!!」
私はそう言ってまずは右側の方の剣を振り抜いた。その余波で周囲の砂が吹き飛んだ。けど上手く力をコントロールしたから人体への影響は最小限にとどまってるはずだ。
まあようはその勢いで人々も舞い上がってるって事だけどね。でもここで今度は左の剣を振るう。再び吹き荒れる衝撃。それは舞い上がった人々を集めてふわりと一カ所に集めてくれた。
これだけのことをしたというのに、皆さん起きてない。きっと私が思う以上に快適だったのだろう。それに蒸し風呂から解放されて心なしか皆の顔が楽になってる気がする。
「さて、後は日陰でも作りますか」
そう言って私は皆を日差しから守るように立つ。私は大きいからね。自分自身で日陰を作れる。最初に勇者が引き連れてたときよりも人数が多くなってるが、なんとか収まりきるかな? 無理かもしれない。普通の状態のG-01って案外スリムだからね。一応一番最初よりは防具的な感じなのは増えてるが……
「手のひらもいっぱい広げればどうにか……」
そう思ってると二つの剣がふわりと浮いた。そしてなんか形を変えていき、傘のような形状になってくれた。便利……モニターで見ると、盾みたいだけど……何でも使い方は頭次第だね。
そう思いつつ、私はとりあえずさっき倒した奴の都市核を眺める。うん……どうしようこれ……