「なんか申請が来た」
それは魔王からだった。ふむ……それは『魂の解放』という許可申請だ。つまりは魔王が私の……というかG-01の一つのパーツみたいな立場から離れようとしてる……って事だろう。簡単な事じゃないとAIは言ってたけど、案外その時は早かった。
「どう思う?」
『そもそもが、二人を解放する気だと言ってたではないですか。私はたただのAIですから、判断するのは貴方です』
「なんかすねてる?」
AIはいつだって素っ気ないが、今回はいつにも増して素っ気ない気がする。確かに魔王という存在が切り離されてしまったら、私の切り札が一つ無くなってしまう。けど、一応色々と対策は出来ると思う。なにせアップグレードの方法も、そしてG-01の機能で新たな物を産み出せる事もわかった。
勿論、それ相応のエネルギーが必要だけど、それでもどうにか出来る当てはある。それに私的にも、魔王と勇者はただ巻き込んじゃっただけ……という思いが強いからね。勇者は元の世界に帰りたいとか思ってるみたいだから、その内送り届ける為にも私から離れないような気がするが、魔王は多分、おそらく? そんな事はみじんも考えてないと思う。
あいつは戦うのが心底楽しいと思える奴である。そしてあいつは故郷の星ではもう、その楽しみを得られないってわかってる。だから戻りたいとか思って無くて、寧ろもっと戦うために、色々と行きたいんだと思う。私たちと行動する事で色々と世界を渡れるという利点があると思うんだけど……この場合きっと……
「これってきっと、魔王は世界を渡る術を手に入れてるよね?」
『彼の性格を考慮するとそうでしょうね』
なんかいつもよりも言葉が冷たい気がする。なんでそんなに不機嫌なのか……寧ろ最近のパワーアップで上機嫌でもおかしくないのに……AIのくせに面倒な奴だ。
「まあ何かわかんないけど、とりあえず許可しておこうか」
『待ってください。この申請はつまりはなにか具体的なアイテムを手に入れた場合があります。魔王も勇者も、その体内にユグドラシルシステムがある訳ではありません。
それなのにG-01から離れようとする……いえ出来ると言う事はG-01に連なるパーツを手に入れた可能性が高いです』
「それってつまり……G-01をアップグレード出来るアイテムって事?」
『その可能性が高いですね』
なるほど……確かに魔王だけではG-01から離れるなんて事はできないよね。魔王が手に入れた物が何かはわからない。けどそれはきっとG-01にとっても有用な物であるはずだと、AIは言いたいらしい。