「さあどうしますか? 少しの間我慢すれば、復興も早く終わり、報酬も貴方たちは手に入ります。そして私から解放されて、それから自由に何をやるにも良いでしょう」
「「「なにをやるにも……」」」
アイの奴の言葉に続いて、ジャルバジャルからやってきた人達はそう呟いてゴクリと喉を鳴らした。やっぱり自由って言葉はなかなかに魅力的なのかもしれないね。それに今の過酷な生活がそこまで長く続かないとなれば、尚更でもある。今の生活はあくまでもジャルバジャルが復興できるまで……実際その基準って何処なんだろうって私的には思うけど……きっと明確な基準がアイの中ではあるんでは無いだろうか? 良くわかんないけど……
「とりあえず一体いつまでには終わるのか、その予定を聞かせて欲しい……です」
なんか今まではアイにとても突っ込んできつい言葉を浴びせていたジャルバジャルの人達がちょっと遠慮しだした。実際、そんなに長くないのなら、毎日酒を呑む楽しみと天秤にかけて、どうなのか……酒が大好きなこいつらが本当に酒を一切飲めなくなって大丈夫なのかって思う。てか……実際想像してたよりも短いかもしれないけど、数ヶ月は多分絶対にかかる。それはそうだよね。
だって街の復興がそんなあと一週間で終わります! ――なんて言われても信じられない。それでも年単位では無いのなら凄いのかもしれないけどね。なにせここには便利な機械なんてものは無い。私くらいである。その私はアズバインバカラに居るからね。
実際数ヶ月も酒断ちを出来るのなら、もう呑まなくてもいいようになりそうな……
「そうでね。復興は後三ヶ月です。ですが、今日は遅れてしまってますね。少しはみ出すかもしれません」
「「「うぐ……」」」
まあこんなことは想定には入ってない……のかな? 一応何かあったときのためにもそう言うのはある程度余裕を見てるものでは? 普通はそうだし、その普通よりも、色々と計算するのがアイだと思う。
だからこいつきっと……ここに居るジャルバジャルの人達にちょっとした罪悪感? 的な物を刻もうとしてるんでは? てか本当に三ヶ月でどうにかなるのだろうか? まあけど、ジャルバジャルとアズバインバカラとの間には私が作った物資を精製する施設がある。それは勿論、活用するだろうし、何か策があるのかもしれない。
「本当に三ヶ月なんだよな?」
「嘘を言ってどうします? 私だっていつまでもジャルバジャルに縛られたくはありません。なので貴方たちを最大限効率的に使って終わらせるつもりです。勿論人道的な範囲でですが。それとももっと無茶なスケジュールを詰め込むことも出来ますよ? なにせこの世界は宵で強制的に休めるのですから、その瞬間まで働かせても良いのです」
それを聞いたジャルバジャルの人達は顔を青くさせる。それはそうだよね。強制的に眠るその時まで働かされて、そしてきっと宵が開けたらすぐに再び働き始める……そんなスケジュールなら更に早く復興が終わる……といわれても流石にそんなのはイヤだろう。
スケジュールされたアイの監督はきっちりとしてて、彼らには合わない。けど、それでも一応の配慮はあったんだなってきっと彼らも気づいたことだろう。