「はっはっ……らああああああ!!」
隊長さんは八体の進化個体を相手にしてる。それぞれ特徴的な見た目をしてるが、まあそれはいいでしょう。今はそいつらではなく、隊長さんを引っ張っていく事が大切だ。実際隊長さんはなるべくサーザインシャインインラから離れて戦おうとしてた。生き延びてる人達を自分たちの戦いに巻き込まないようにと言う配慮だろう。
まあだからってそんなに離れてるわけじゃない。そもそもが周囲全部を砂獣に囲まれてたし、サーザインシャインインラから離れるって事は出来ない。どうやら今はその進化個体だけが隊長さんの相手をしてるが、無数の砂獣は今なおサーザインシャインインラへと進行してる。本当なら隊長さんはそこらの砂獣を少しでも減らしたい……と思ってるだろう。けど進化体から目を離すことは出来ない。
それをしたら自分が追い詰められると隊長さんは分かってる。どうやら奴らはそれなりに知性もあるみたいだからね。喋らないやつもいるが隊長さんの方にいるヤツの何体かは喋ってる。それはどうやら人に理解できる様なものではないけどね。
「きぃー」とか「ちぃー」とかそんな音? を発してるのを確認してる。そしてそれにはパターンがある。それをG-01に解析させたことろ、どうやら会話をしてるって分析結果出てきた。ようは奴らは言葉を交わして連携してたりするのだ。これは厄介。
それにどんどんと隊長さんの疲労は溜まってる。それはきっと彼自身が1番よくわかってると思う。だから私の出番だろう。私は今、この場所にドローンたちを集めてる。一応ずっと生産して送り出してるが……そいつらがサーザインシャインインラに到着するのはまだ時間がかかる。だから今は予めここに持ってきてたドローン部隊で対応するしか無い。
私はドローンたちを進化体共と隊長さんの間に送るよ。そいつらを使って障壁を展開して、攻撃を防ぐ。そして更にいくつかのドローンを使って、大きな結界を作って進化体共を取り囲む。
『大変です。これと同じと思われる進化した砂獣が避難先に現れてます。武器を持った人達で応戦してますが、苦戦中です』
「でも自分が戻るとこいつらも……」
自分を犠牲にしてでもここで足止めしようとする気概は認めるけど、無駄死にはしてほしくないよ。このままここで戦っても、奴らには一人では勝てないと分かってるだろう。なら仲間と合流したほうがいい。まあ実際今戦ってるのは彼の仲間やら同僚ではない。
けど同じ街を守ろうとする仲間……と言えるはずだ。
『ここで戦い続けてもジリ貧です。武器を持った市民は戦力になってます。彼らを死なせないためにも、そしてサーザインシャインインラを救うためにも、彼らに指示を出せる者が必要です。このままでは彼らの心が再び折れます。そうなると比嘉の戦力差にこの街は終わります』
「市民に剣を持たせて戦わせないといけないのか……わかった。戻ろう」
辛い表情をしたが、それでも隊長さんは決断して皆の元へと戻っていった。