uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力に目覚めた件 76P

 今日も今日とて、二人でお昼を食べて、そして時間も迫ってきてるからまずは平賀式部に出て行ってもらう。そして次には野々野足軽が出ていく番なわけだが、普通に出て行くと野々野足軽の存在がバレてしまう。そうなるとどうなるか……平賀式部を狙ってる奴らは同級生から上級生まで満遍なくいるせいで針の筵になるのは分かりきってる。

 そうなると今の平穏な学校生活は終わりを告げることになるだろう。それはとても困ると野々野足軽は思ってる。だからバレるわけにはいかないのだ。だからその為には自重しないときめたらしい。まずはこのまま出て行くのはダメだ。

 タイムリミットは五時間目の授業が始まる前にここを出て教室に行かなくてはいけない。だから野々野足軽はもたもたしてるわけには行かない。野々野足軽は教師の間でも優等生くらいではきっと通ってるはずだ。いや、優等生ではなくても、手のかからない生徒……ポジションだと思ってる。だからその印象を壊したくはない。

 だがある意味でタイムリミットがあるというのは野々野足軽にいい方にも働いていた。なにせ午後の授業に間に合うように出てくる−−という認識があるから、それまでに出て来なかったらつまりは授業に遅れるわけで……そうなると後からでも適当にどっかのクラスに午後の授業に毎回遅れてるやつがいないか……とか聞けば特定できたりするだろう。

 でもそんな奴はいない……そして監視してる奴らも午後の授業に遅れるわけには行かないから監視もそこまで……ここ一週間で大半の奴らは結局のところは平賀式部が気分転換に教室ではなく一人で食事をとれる場所を見つけたんだろう−−と結論をづけてくれた。

 なにせいくら監視しても、聞き込みしても、平賀式部の側に人の影はないし、午後の授業に遅れたやつもいないのだからそういう結論に至るだろう。

 

(なんであいつはまだ疑ってるんだ?)

 

 でも桶狭間忠国だけは違う。今でも平賀式部を監視してる。てかそれが十分に平賀式部に対して失礼なことだとなんで気づかないのか? プライバシーの侵害って言葉知ってるか? と野々野足軽は問いたい。

 まああんな筋骨隆々の相手に正面からそんなの言えるわけもないんだが……もちろん今なら以前よりも恐怖心なく立ち向かえるとは思う。なにせ野々野足軽には力がある。正面から殴り合って勝てるとは思わないが、やりようはいくらでもある。でもあんなやつに敵対されるとか考えたくもない。

 そしてあんな異常者に想われてる平賀式部を守りたいって思ってる。だからどうにかする気だ。

 

(恋心とか消せればよかったんだけど……)

 

 野々野足軽には力がある。だからそれを使って恋心という感情を消し去る……とか考えた。完全に気配を遮断して接触、そして脳みそをいじればどうにか……とか思ったが、流石に脳みそをいじるのは危険が危ないと思って思いとどまった野々野足軽である。

 そもそもが恋心というのは脳みそで恋という感情が生まれるのか、それとも心なのかよくわかんないってのがある。でも心がどこにあるのか…… そんなのは今でも解明されてなんてない。つまりは流石の力でも恋心をどうにかできるなんてことはないってことだ。

 

(最悪記憶を消す……はできそうではあるけどな)

 

 でもそれは最終手段だろう。本当に危ないことをしてきたらもうなりふり構ってられないが、一応彼、桶狭間忠国は直接何かをしてるわけじゃない。とことん学校でも接触しようとはしないし。

 まあだからこそ不気味というか……とりあえず野々野足軽は窓に手をかける。ここは実は3階なんだがある意味で都合が良かった。実は毎回窓から壁にへばりついて下まで降りてそして玄関から自身の教室に戻ってたのだ。

 単純だけど、3階ということもあって窓から脱出してるなんて誰も思わない。だって流石に3階は危ない。2階ならまだその可能性を考えるかもしれないが、3階だと流石に怪我をするリスクが高いからな。

 でも野々野足軽には力がある。そのおかげで安全に降りることができてた。もちろん最初はスタイリッシュに飛び降りようとしたんだが……流石に怖くなったから、壁にへばりついて下に降りるというなんとも格好つかない感じになってしまってる。

 でもバレなきゃいい……そして安全第一だと野々野足軽は納得してる。