「くっ」
弾丸を打ち込んですぐに頭にさまざまな情報が流れ込んでくる。それによって頭がズキズキと痛む。解析魔法の困るところはこれにある。いくら情報を得たとしても、それを理解解明解析するのはその頭に依存するということだ。そうなると人一人の頭では大量の情報を一斉に処理するのは難しい。
しかもここは世界自体が違う。そうなるとさまざまな仕組み、法則なんか違うわけで、色々と理解できないことが多くなる。だからこそそういうのをどうにかするための解析魔法とか色々とあるわけだが……ここはG-01殿の力を借りよう。そしてさらには自分の中にいるノアの知識とか活かす。やつの知ってることはをG-01殿の方にアップロードすることで、その補助となるだろう。
相変わらず一旦自分の方へと流れてくるせいで、頭痛は治らない。けど、自分では処理できないほどの情報でも流石はG-01殿。鬼という存在をいろいろと解析してくれてる。
それで何が鬼に起きたのか……それがわかった。
「流石に鬼という存在を乗っ取るとかはできないみたいだな」
そこまでのことは流石にできないみたいだ。それはきっと力の総量の差だろう。圧倒的に人の方が力が少ないのだから流石に乗っ取るとかは無理だ。
「意志……いや一つの思考だけを流してるのか……」
どうやらさっきの奴は一つのことだけを流し込んだらしい。そしてそれを増幅させてる。しかも鬼の中の力を使ってだ……なかなか狡猾な術式だな。確かに人の力は矮小だ。でも流し込んだ奴自身の力を使うことで、いくら強大な相手にも通用するようになってる。
そしてその流し込んだ意志……それがどうやら鬼を苦しめてるらしい。いや苦しんでるってことは抵抗してるってことだよな？ 鬼にも意志はあるってことか？ G-01殿に聞いてた限りでは、鬼には個人的な意志はないって事だったような。
世界をただ再構築するために世界がもたらした労働力……的なそんな奴だと聞いてる。でもそうか、あの鬼は他の鬼とは違う。その色からして……だ。だから意志があるのかもしれない。
そのせいで、教会の刺客が自身を犠牲にした捨て身の行動で鬼に注入したその意志、それが元の鬼の意志とぶつかり合ってるんだろう。追い出したいが、教会の術式は奴自身の力を勝手に使ってる。
そのせいで、意識したらするほどにその意志が鬼を蝕んでるのかもしれない。まあだからってあの鬼の純粋な意志が破れるとは思えない。どうやら鬼自体はただ単に「暴れたい」と思ってるみたいだ。それに対して教会が送り込んだ意志は「破壊」だ。何が違うのか？ コンフリクトする必要がないような？
だが鬼は体に入ってきてる異物を排除したいようだ。まあけどそういうものだろう。勝手に入り込んできた意志なんてのは気持ち悪いと思って不思議じゃない。でも実際今でも十分に暴れてるけどな。
「さて……どうするか……」
情報があるとないとでは対応が変わってくるものだが……問題はやはりだが、かなりの力の差があるということだ。普通に戦ったら、絶対に勝てない。それが情報からわかる。
