「あれ?」
野々野足軽は次の日、目覚ましのけたたましいアラームで目が覚めた。のそりとベッドから体を起こして、アラームを止める。そしてその画面をみて、いつの間にか今日という日が昨日の翌日だということに気づいた。
なにせ野々野足軽にはいつベッドに入ったのか、そもそも昨日の記憶が途中から全くない。
「一体何が?」
なぜか寝起きがものすごくいい野々野足軽だ。いつもは5分くらいはベッドでモゾモゾとしているのに、今はもう頭まですっきりした気分とでも言おうか? そんな感じの野々野足軽だった。なのですぐに直前の記憶を呼び起こすことが出来た。
「そうだ……昨日は確か平賀さんの家に行って……そこで」
そう言った瞬間に、野々野足軽の顔が沸騰したかのように赤くなった。そして顔を手で覆う。
「おぉお……」
とか変な声を出してる。きっとあの時のことを思い出して再び頭が限界に近づいてるんだろう。
「おいアース」
(なんですか?)
「昨日、何やった?」
(なんですか? 藪から棒に)
「俺が家にいる。けど俺は家にどうやって戻ってきたかわからない。お前が何かしたんだろう?」
簡単な推理を野々野足軽はした。これで平賀式部の家で目が覚めるというのなら、まだわかる……そっちのがやばいのは確かだが、それなら平賀式部が解放してくれたんだろうと野々野足軽だって思っただろう。
けど野々野足軽は家にいる。そして自宅で普通に眠ってた。これっておかしい。おかしいはずだ……と野々野足軽は思った。
(別に何もしてませんよ。むしろ感謝してほしいくらいです。私が何も問題ないように、行動したのですから。お礼を求めます。それとも平賀式部に情けない姿を晒してよかったのですか?)
「くっ……」
そう言われると、流石に何も言えない野々野足軽だ。だって平賀式部に情けない姿なんて確かに見せたくないからだ。それは男の矜持ってやつだろう。そんなことを思ってると平賀式部からメッセージが届く。それにはこう書いてあった。
『おはよう。迎えにいくね。マイダーリン』
「いや何したお前!?」
思わず、野々野足軽はベッドに立ち上がってそう叫んだ。