私は砂に埋もれてたドローンを稼働させる。どうやらこのカーテンの中で、一時的にバッテリーが切れて休止してたらしい。でもここまで近かったら、G-01からエネルギーを供給できる。なのでカーテン内部にいたドローンを復活させた。
コクピット内に鮮明な内部の映像が現れた。全方位を移してる私の周囲のモニターの一部にそのドローンの映像を出す。それを見ると、どうやらアラクネちゃんはうまく勇者と連携を取ってるみたいだ。実際の所はアラクネちゃんではあのレベルの戦闘についていくのは辛いだろう。
だって元々がアラクネちゃんが特別な砂獣で砂獣の中では強い方だとしても……それは世界基準でなんだよね。つまりは彼女の強さは世界を越えることはない。でも勇者もあの鬼も世界を越える強さを持ってる。だって勇者はG-01の眷属だし、鬼は元々世界を壊して元に戻すような役割を持った存在だ。
そうなるといくらこの世界では強い−−と言える特別な砂獣だったアラクネちゃんだとしても、真正面からこの戦いに参加するのはとてもじゃないが自殺行為だ。それはきっと彼女もわかってる。私が入れたアラクネちゃんのAIはほぼ初期型みたいなものだから、賢いことはまだまだできないと思う。けど危険かどうかくらいはわかるだろうし、指示を聞く……というのは純粋なAI程得意である。なにせ……
「AIって成長すればするほどに小生意気になっていくみたいだからね」
アイがいい例である。アイはAIなのに私を試したり騙したり、嘘ついたり……それに求める情報を隠したり……やりたい放題だった。実際、それは私の成長のため……だってのはわかってる。でもさ……私は褒められて伸びるタイプなんだよね。
別にそれはサボりたい言い訳ではない。だって今だってちゃんと私は成長を止めてない。ただ怠けたいだけのやつの「褒められて伸びるタイプなんだよね」ってのはそういう小煩い人がいなくなると、ただ遊び呆けて勉強とかしなくなるだろう。
けど私はちゃんとやってるから!!
「私も頑張るからアラクネちゃんもがんば!!」
私はそんな風にアラクネちゃんを激励するよ。まあ向こうには伝わってないだろうけどね。そもそもがアラクネちゃんは元から陰湿な……というと印象が悪いが、とにかく小狡い力って感じだったから、サポートには最適だろう。
「よし、内部から鬼のデータを取れるし、これなら」
私はドローンを使って詳細に黄金の鬼をスキャンして、その力の流れを追う。その先にこの鬼に影響を受けたブニブニがいるはずだ。