「ヨシヨシ、いいよ! 最高だよ!!」
私はG-01でグッと親指を立てて「最高」を表してあげた。すると目は見えないがアラクネちゃんの形の良い口の口角が上がった。笑ってるのだ。実際、戦ってる時には全くの無表情だったと思うんだけど……でも今は彼女は笑ってる。どうして? もしかしたら私のエネルギーを与えたことでまた何か変化があったのか? それとも、教会の仕掛けで感情というものが抑えられていたのか。
「でも、そもそも砂獣に感情なんて……」
ないのが普通ではないだろうか? だって砂獣に感情なんてものは必要ない。でもこいつらは普通の砂獣ではない。人の心……いや魂が実際にある。なにせヌメリアさんに宿った命に代わって……いや受胎して生まれたのだ。実際のところ、さっきその魂は成仏して行った。
だからすでに感情なんて……でも実際、このアラクネちゃんは笑ってる。私の作ったAIの出来がいいのかもしれない。実際私はほぼ作ってないけどね。だってベースがG-01の中にあったから、それを使っただけだ。あとは勝手に成長要素があるから、その内もっともっと個性的になっていくだろう。
「いや待てよ?」
個性を出すには早い方がいいのかもしれない。でもこの子喋れないからね。でも人間的な体してるし……私はとりあえず人間の部分をもう一度詳細にスキャンしてみる。
「いや、声帯あるやん」
なんと普通に声帯あった。ならなんで喋れないのか? そもそも砂獣としては喋る必要性なんてないから使ってなかったから、喋り方がわかんないだけでは? なら今から喋らせていけば、特徴的な語尾をつけることもできるかもしれない。
それはそれで楽しいかもしれない。それに単純にアラクネちゃんの声がどんなのか、結構楽しみ。実を言うと声帯をスキャンして、さらに骨格とかもスキャンしてれば、G-01なら声を再現するってことができる。
その程度、G-01の性能からすれば、おゃのこさいさい−−なのだ。でもやらない。そんなのしたら楽しみがなくなるからね。取り敢えず……こっちはどうにかなった。すでにサーザインシャインインラの上層部はすでに全員砂獣によって食われてしまったらしいし、あとは金の鬼をどうにかできれば、このサーザインシャインインラを教会の影響力から切り離して復興できるだろう。
と、言うわけで……
「あとは鬼だけだね」
心強い援軍を連れて行って勇者に感謝でもされようかな?