私は大きく揺れていたアラクネ型砂獣のソレを上手く本体から切り離してやった。それで満足したわけだけど、予想外のことが起こった。私が弾き飛ばしたアラクネ型砂獣の胸……乳房。それに向かって、本体から糸が伸びた。そして私が弾いた胸と接続すると、なんということでしょう……そのまま元あった場所へと戻っていった。
そして私に見せつけるようにぷるるん――と揺らしやがる。さらにさらに、なんかこっち見て、ドヤ顔!! いや、目は隠されてるけどさ……その口元がニヤッとなるってるよ!!
「こいつ、さては私がピンポイントで胸を狙ったからそこに妬みがあるとか思ったんじゃ」
なんという屈辱!! なんという侮辱だろうか!!
「違います~! 別にそんなの全然羨ましいとか思ってませーん!!」
私は一人、コクピット内でそんな事をいってる。なんか虚しい。別に砂獣が言い返して来るわけでもないからね。その代わりに、行動をしてるけど。胸をもとに戻したアラクネ型砂獣はなにやらその下半身の蜘蛛の方の目がビガッと光る。その8つの目が光ったのはきっと演出……とかじゃないよね?
何か意味がある……とか思ってると、影響を示す表示がされた。
『石化魔法を感知。自己修復機能3%エネルギーを上昇させます』
というものだ。AIはもういないのにこの表示は? とか思ったかもしれないが、別にこれは意思がある文言ではない。ただの報告を、システム的にやってくれてるだけである。
石化魔法を中和するためにこれだけのエネルギーを使います……というね。私は別に文句ないから、それをただうけいれる。アイがこのG-01から出ていって……というか私が分離させたんだが……それから色々と自動で無くなった事もある。
けどもともと決められてるシステムがある。それこそ、自動修復なんてのはその最たる例である。別にG-01の中からAIであるアイがいなくなったとしても、それはなんの問題もなく勝手にやってくれてるのである。
アイがいないと、G-01が動かなくなる……なんてことはない。つまりはアイはそもそもが私をサポートするためのAIだったということである。アイももしかしたら後付だった……ということなのかもしれない。
このG-01を作った御方たちも、流石にG-01の機能を盛りすぎた……とか思ったのかもしれない。だからわざわざ別にAIを作ってサポートさせるようにした。だからアイは普通にG-01から分離させる事ができたのだ。
もともとシステム的に深いつながりで生み出されたAIだったら、分離なんて出来ません――となってたかもしれない。つまりは石化に対してはシステム的にこういう対処をするって予め決まってたのだ。
「てか石化……か。本来なら私も石化してたのかな?」
私の身体自体には何の影響も無いわけだけど……ちょっと気になる。だって私は別に直接あのアラクネ型砂獣の目を見てる訳では無い。でも石化ってするのだろうか? でもよく考えたら、G-01がエネルギーを通常よりも多く回したと言うことは、その石化を中和してる訳で……このアラクネ型砂獣の石化はG-01に通ってるんだよね?
実際のところは3%のエネルギーで中和できる程度ではあるが……通ってるのは事実。つまりはこのアラクネ型砂獣は放置してるととても危険ということだ。これまでもこいつに石化させられた人間は多いんではないだろうか? てかその場合、もとに戻せたりするのかな?
「石化を食らってるのなら、その石化攻撃自体のパターンか波長とか調べて見ようかな?」
私は石化を冷静に分析するよ。