これを少しずつ分離させていくとなったら、それこそ超精密な力の操作をやらないと駄目だ。そんなのは流石に無理だ。私にはそこまでの超精密な力の操作の技術なんてのはない。
でも大丈夫。なんだってできるG-01だ。私に出来ないことは、G-01の機能で助けてもらうのだ。どうするかと言うと、詳細にスキャンする。それこそ溶け合ってる魂と、砂獣の細胞……というか存在レベルでスキャンした。そしてその溶け合いの境目をしっかりと強調表示させる。
でもそもそも溶け合ってるからね。その境目もいくつもあるし、普通に繋がってるわけでもない。しかも溶け合ってるからね。なんか揺れてるし……次の瞬間には場所が変わってる……って感じでもある。
「これを外科的に切り離すのは誰にだってかなり難しいよね」
境目を切り離すってのは改めて魂と砂獣の融合具合を見ても難しいとわかる。でもこれは無理だから……それを確かめる為にこれをやったわけじゃない。むしろ可能性を確かめる為にやったのだ。
「うん、これなら……『洗濯』できそうだね」
人の魂と砂獣の融合。それに様々な要素を加味して、私は洗濯をすることにした。いや洗浄……か？ なにせ魂についた悪い物をとるんだからね。まあ洗濯でも洗浄でもどっちでもいい。ようは魂から砂獣という異物を取り除ければいいのだ。細かな作業は私ではできない。だから機能に頼るっていうね。
そもそもがそういうために機械はある……と思えばこれこそちゃんとした機械のつかいかたではないだろうか？ 既にこのアラクネ型砂獣の体はG-01のエネルギーで満ちてる。
なので超マイクロチップを流すのも簡単だ。そして魂が有る範囲に球状の膜を作って、そこでエネルギーを動かす。……動かす。それこそ洗濯みたいに、上下左右、全ての方向にグルグルとね。でも実際は魂とそして融合してる赤ちゃん砂獣の部分はこんなグルグルとした程度で分離する様なものではない。
でも洗濯にだって洗剤が必要だよね？ それを投入である。実際洗剤ではない。けど表現としては正しい。より汚れを、魂を分離しやすくする成分みたいなのを投入した。こういうのはG-01のエネルギーを変質させる事で作ることができるみたいなので、便利でいい。
それを加えてグールグルとまたすることで、魂と赤ちゃん砂獣の存在が僅かに引き剥がされる。けど完全じゃない。むしろ、引き離されやすい状態に持っていった……という方が正しいだろう。
更にここでスキャンして、より境目を明確する。今まではそれこそ曖昧で消えたり現れてたりしてた境目がハッキリと留まって見えるようになってる。そこにターゲットロックオン！！
優しく扱ってた魂には刺激的だろうけど、ここはほんの一瞬我慢してもらって、私はエネルギーを刺激する。エネルギーは変質して、境目で洗濯してもろくなった境目を切り離す。それが一斉に、同時に起きることで、魂と肉体の分離を引き起こすんだ。そうやって私はヌメリアさんが生んだ……いや生まれるはずだった赤ちゃんの魂を取り出した。
