「ありがとう」
そんな声が聞こえた気がした。ヌメリアさんが生んだ砂獣から引き剥がした魂はそんな言葉を残して天に帰っていった。この工程をマニュアル化して、もしも捕まってる魂があったら、助けてあげよう。実際ヌメリアさんはこれまでいくつの砂獣を生んだのか、わからないって感じだったからね。これからも彼女から生まれた砂獣が中にはいった特別な砂獣が出てくる可能性はある。
そんな時は私が出張って魂を開放すれば、特別な砂獣は驚異にはならないだろう。
(でもあれだね。私が直に出向くと意味なんてないかもしれない)
だって私……というかG-01ならそもそもが特別な砂獣が脅威になんてならないからだ。この面倒な作業は私が出向いてやったら手間でしか無い。だってG-01なら、プチッとするほうが単純に早いからだ。
もちろん、今は良心の問題で救済をやったけど、ずっとこれをやり続けるか? というとわかんない。でもそれは私だから手間だと思うのである。もしもこれを勇者……いや私界隈の奴らではなくて、それこそ現地の協力者にこれをできるアイテムでも与えたらどうだろうか?
それはとても強力だと思う。だってこのサーザインシャインインラの最強戦力である部隊の隊長さんも特別な砂獣には苦戦してた。けど私がこの工程を勝手にしてくれるアイテム、それをもたせてたとするならばどうだろうか? こんな苦戦することなんてなかったはずだ。
確かにG-01が使うのではあんまり意味がないが、強力な砂獣をろうせずに無力化できる……となれば……かなりありがたいものになる。それに私がでばらなくても、どうにかできるってのもこれはいい。
実際、この工程を自動化して、べつの機械に仕込むとなると、色々と検証が必要だけど……でもやる意味あるかもしれない。
「さて、私の事わかる?」
そんな風に私はアラクネ型砂獣に問う。いや、実際もうこれは砂獣ではない。実際は側は砂獣だけど中身は私が作った簡易的なAIが入ってる。
「ががが……がが……」
なんかそんな声が聞こえた。どうやら話す……ということが難しいらしい。たしかにそもそもが砂獣だからね。見た目的には人間の部分は喋れそうな気もするけど、実際は一回も喋ってなかったし、声帯とかないのかもしれない。
とりあえずアラクネちゃんは頷くことで意思疎通をしてくれた。ちゃんと定着できてるみたいだね。
「その目の所の髪の毛取れる?」
そういうと、彼女はその手で目を覆ってる髪の毛をブチブチと引きちぎる。違う……そうじゃない……と言っても良かったけど、まあいいや。そしてアラクネちゃんは閉じてた目をひらく。するとなんかめっちゃ充血した目をしてた。それに目の周囲もなんか血管が浮いてる様にみえる。でも形は整ってる。
美女では有る。それは間違いない。でも不気味というね。そこは元々砂獣だから仕方ないのかもしれない。