一発一発がクソ重い黄金の鬼の攻撃。でもその動きはとても荒い。まさに獣というものだ。そこに技術はない。確かに圧倒的に力の差があるのなら、それでいい。それこそ圧倒的な力の前では技術なんてのは押し潰されたりする。技術を押し付けられるのも、ある程度上に上限があるときだ。それこそ人間と人間とかだ。
でも鬼は上限を突破してる存在だ。普通なら鬼と敵対したら大抵の生物がどうしようもないだろう。その圧倒的な力……そして巨体に殴り殺されることしかできない。だが自分はそこらへんまで鬼と隔絶してるわけじゃない。
けど届いてるかといえば……ギリギリだ。隔絶してないが、その一歩手前になんとか届いてる程度。
黄金の鬼の拳がからぶる。でもそれだけで空気が弾けて、バゴン!! という音が響く。何も殴ってなんてない筈なのにそういう音が響いてた。多分空気をたたいてる? 的なやつなんだろう。うまく聖剣で受け流しつつ、狙いをつける。時々こっちも光の剣線を出して攻撃をする。でもそれでもちろんだけど有効だになるなんて思ってない。ただちょっとした牽制、それか気がそれればいい。
でも……
「ダメか」
黄金の鬼は全く気にしてない。
「くっ」
下手にエネルギーを使うのは得策ではない。それはよく分かってる。けど、獣のような無駄な動きでも相手は鬼だ。そしてそのエネルギーは減ったといっても圧倒的に多い。その動きは早く、そして獣だからこそ、予測しづらい。それでも受け流すことは簡単にできる。ちょっとでもミスったらはそのまま潰される……というひりつく様な感覚はあるが、それがちょうどいい緊張感になってるだろう。
「楽な方に逃げるな自分!!」
牽制はもうやめることにした。なにせ狙いは鬼の角だ。鬼のツノはエネルギーが集約されてる場所だ。下手な攻撃であのツノを切るなんてことは無理だろう。ならために貯めて、そしてその貯めたエネルギーを収束に収束を重ねて研ぎ澄まさないといけない。
それにはとても繊細なコントロールが必要だ。なので他に意識を取られてたら無理だ。けどだからって流石に攻撃にだけ意識を割くってのは難しい。
そんなことを思ってると、ズドン!! と黄金の鬼がすっころんだ。何が? と思ったら単純だ。どうやら糸に引っかかったらしい。G-01殿が寄越してくれた砂獣……彼女の仕業だ。