「何これ?」
そんなことを言いながらも、私はすぐにそれをスキャンしてる。何があるのかというと、勇者と金の砂獣が戦ってる場所になんか光がある。地面から湧き上がってるようなそれは外からの侵入を拒んでるんだよね。光のフェンスというか……カーテンというか……そういうのがあるのだ。
『勇者、これはどういうことですか?』
とりあえず戦ってる勇者に聞いてみる。迷惑かな? とか思ったけど、私が参戦すればすぐに終わるのだ。金の砂獣と戦うよりも、このカーテンをどうにかして取り除く方が効率的ではないだろうか? これってどこまでとんでもあるんだよね。まるで世界が私をあの戦いに参加させたくないみたいな?
確かに私があの特別そうな金の砂獣のエネルギーまで取り込んだら、この世界の神的には困るかな? てかそれはこっち的にも契約違反かもしれない。私はもう、これ以上は鬼を狩ってはいけないのだ。ならあいつのエネルギーはそもそもが諦めないといけないのかもしない。
『誓います。私は決してあの鬼のエネルギーを奪いません!』
私は一人コクピット内でそんな宣誓をした。けどもちろん、それに応えてくれるものなんていない。シーンとしてコクピット内はしてる。恥ずかしい。いやいや、でも神ならこの場所のことだってみてたって……おかしくないじゃん。なんか反応してよ。でもどうやら神よりもこのG-01を作った方々の方が立場的にも技術的にも上みたいだからね。これまでの情報を見るに。勇者からの反応もない。
「ふむ……なんかやばいね」
このカーテンをスキャンしてみてわかったけど……これ、どうやらあの黄金の鬼にエネルギーを供給してるっぽい。そしてこのカーテンの内側……そこが全体的に特殊なフィールドになってる。というか、このカーテンの影響を受ける範囲になってる。そしてさらにいうと、このカーテン自体が、あの黄金の鬼にこの世界のエネルギーを送ってる。
それによって金の砂獣は疲れ知らずというか、元々アホみたいな強大なエネルギーがあった訳だけど、世界と接続することで、そのエネルギーでもってほぼ永遠と思えるくらいのエネルギーを得てる。けどこれって……
「この世界の寿命がやばいよね」
なにせ元々が時限爆弾付きの世界だ。そんな世界のエネルギーを強制的に引っ張り上げるとどうなるか? どこかから供給されるならまだしも、そうじゃないのなら、たた寿命が縮まるだけだ。
そしてどうやらここの神にはその気はない。きっと神的にはここもたくさん作ってる世界の一つで、ここが失敗しても、また世界を作り直せばいいってくらいにしか思ってないと思う。もちろんいつ空獣がやってくるかわかんないから、ヒヤヒヤしてるとは思うが、そもそもが神の時間の感覚とかよくわかんないからね。
「そういえば、戦闘中にあの黄金の鬼がこの世界の化身みたいなのを引き抜いたからこの世界がちょっと脆くなってるんだっけ」
なんかウネウネしたあれである。あれを引き抜いたのはこれのためなのか? そもそもあの鬼は今、ちょっとは教会の連中の影響も受けてるだろうしね。奴らはこの世界を終わらせたがってる。
それを早めるために、世界のエネルギーにも耐えられるような鬼を利用してるのかもしれない。このままじゃやばいのは確かだ。奴らがこの世界を終わらせたいのなら、その逆をしてやるのは面白いかもしれない。私はそう思って、目的を変更することにしたよ。