「あっ、こんにちは」
「あ、う……うん。ゆ、ゆっくりしてって……」
野々野足軽は階段へと登る途中で二階からやってきたツーントンカラーの頭の女子とすれ違う。気さくそうに挨拶してくれたわけだが、いきなりの見知らぬ女子の登場に野々野足軽はしどろもどろになってしまった。彼女は別に全然気にしてなさそうに、野々野足軽の横を通ってく。その際「トイレトイレ」とか小さな声で呟いてた。
「小頭の友達……か? でもあの見た目」
そうそうちゃんの見た目が気になる野々野足軽である。小生意気な妹だが、野々野足軽にとっては野々野小頭は妹なのだ。心配するな――という方が無理だろう。
そうそうちゃんは赤と黒のツートンカラーの髪の毛をしてる。はっきり言って奇抜である。だから真っ先に「不良?」とか思うのも無理はない。
「いや、けど見た目だけで判断するのは良くないよな」
そんな事を野々野足軽は思う。すると頭にアースの声が響く。
(あれは危険かもしれません)
(どういうことだ?)
危険なんて、アースはそうそう使わない。なぜなら、アースは最強だからだ。その力は野々野足軽のはるか上……それこそ彼方と言っていい。それだけ別格の力を有してるアースが危険……なんていうなんて。
(一体何者なんだ?)
そんな風に気になってしまう野々野足軽だ。だからだろう。
「ふんふーん」
トイレから戻ってきたそうそうちゃん。彼女はふと野々野小頭の部屋の反対の扉をみた。それにちょっとびっくりする野々野足軽。けど、彼女はすぐに野々野小頭の部屋の方の扉をあけてはいっていった。
「おまたせ」
とかいってね。そんなそうそうちゃんを確認して、野々野足軽は部屋でホッと胸をなでおろしてた。
(バレてた?)
(いえ、ただ気になっただけでしょう)
(ふうん……え? 気になる?)
どうして? という疑念が湧いてくる野々野足軽。なにせ野々野足軽は見た目は普通だ。THE・普通といっていい。そんな野々野足軽を気にすることなんてまったくないはずだ。
だからもしかしたら野々野足軽は自分に気がある? とかちょっとだけ思ったり……
(女の勘かもしれません)
(なんだよそれ? そもそも何に反応してるっていうんだ?)
(彼女の目的、それは貴方ですよ)
(えぇ!? まさか、どっかで惚れられてたのか?)
なんか斜め上の思い違いをしてる野々野足軽だった。でも今のアースの言葉だけだとしょうがない? のかもしれない。身の程を知れ――とは思うが。