uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力が目覚めた件 269P

「どうしたんだ?」

「お兄ちゃんには関係ないから……」

 

 家の玄関の扉を開いて、帰ってきた野々野足軽。そこには何やら玄関の前で制服姿のままウロウロとしてる野々野小頭がいた。足軽の言葉にとっさにイラッとした感じで返した小頭だったが、何やら彼女は考えてる。

 

「はあー悪かったよ」

 

とりあえずそんな謝罪を口にした野々野足軽。兄はいつだって妹のはけ口になるのだと彼はわかってる。触らぬ神に祟りなし……ならぬ、触らぬ妹に祟りなしということで何か聞くことはやめようと思った。

靴を脱いで、横を通り抜けようとする野々野足軽。そこで何か引かれるような感覚。振り返ると、制服の裾を小頭がつまんでいた。

 

「えっと……友達……が……」

「友達? 何かあったのか?」

 

 そんな野々野足軽の言葉に顔を伏せて頷く小頭。それに対して何かを察した足軽はちょっと考える。友達というワード……そこで思い出されるのは、つい先日家にいたツーントンカラーの派手な子だ。

 

「まさか休日に来てた?」

 

 再び頷く小頭。それに対して「どうしたんだ?」と足軽は言った。すると小頭の肩が震えだした。そして、ポタポタ――と雫が床に落ちた。そしてかすれるような声でこう言ってくる。

 

「いなく……なっちゃった……ねえ……どうしたら良いの……お兄ちゃん」

 

 グスッグスッ――と小頭は溢れだす涙を恥ずかしいのか止めようとしてる。けど止まらない。それはそうだろう。だって友達がいなくなってしまったんだ。そんな妹を見て、足軽は小頭の肩を強く掴んでみせる。

 するとその力強さが伝わったのか、涙を流す顔を小頭は上げた。そして足軽を見てくる。そんな妹に対して、足軽は言ってみせる。

 

「お兄ちゃんに任せておけ。――なっ!」

 

 それは野々野足軽にとっては一世一代くらいのキメ顔だった。けど冷静になったんたんだろう小頭はこんな事を言い返した。

 

「お兄ちゃんの癖に……」

 

 である。でも小頭は肩に置かれた手に自分の手を重ねて、それを受け入れてる。拒否したりしてない。それを見て「可愛くないやつ」と思う野々野足軽であった。