さてさて、そんなに時間はない。なんとか皆止めようとしてるが……すでに何人かは「これは無理だ……」と諦めてしまってるものだって居る。でも私はそんな簡単に諦めることはない。寧ろやれるって思ってる。これもまた一つの勉強程度の感覚だよ。
私はちゃんとG-01の中で学んでる。けどそれだけじゃつまらないから、ここで実践である。勿論学んだことそのままのことが使えるってわけじゃない。でもやってみないとわかんないからね。
私はドローンを使ってその脚をぷすっとダンゴムシの表皮に刺す。まあ実際は固くて刺さんなかったが、別にいい。刺さらなくても分析することは出来るからね。刺さらないのなら、粘着性の粘液を出して直接的にドローンをダンゴムシへとくっつけた。
とりあえず左右の近い部分に何機かのドローンをくっつけて、これで影響できる距離を縮める。この距離で混乱を指せるのはちょっと危ないか? 混乱して実際どこに行くかもわからないような博打はすでにザンサンシャカレの街との距離を考えると危険かもしれない。
混乱したからって、ザンサンシャカレの街を絶対に回避する……とは限らないからだ。どう考えてもこのダンゴムシは明確に指示されてザンサンシャカレの街を襲おうとしてる……つまりは完全にコイツラを操れる術を教会は持ってる――ということだ。それなら……
「さてさて、どんな術式使ってるのかな?」
私はそう言って目隠しの聖女へとつけてたドローンへの映像を映し出す。目隠しの聖女が引っ込んだときに一体、光学迷彩をしてつけてたのだ。なにせ絶対に何かやると思ったしね! きっとこのダンゴムシへの命令とか彼女がやってるんでは? って思ったんだよ。
『聞こえてますか? 外の者』
なんか映し出した映像には目隠しの聖女の顔がドアップで映ってた。それに……映像も乱れてる。ドローンの状況を確認すると損傷率88%である。これはやられてるね。
なんとか映像を送ってる感じか。どうやら彼女には光学迷彩は効かないらしい。まあそもそも彼女、目隠ししてるしね。考えてみたら、感覚が鋭敏そうである。そしてドローンを通して私に語りかけてきてる。
どうしたらいいのか? 私は喋れない設定だが……この人は別にそんなの知らないだろうし……これを通して通じるのは目立ってる勇者とかにつながる……とかおもってるんだろうか? でもなんか喋ってみたい気がした。
なのでちょっと反応してみることにした。
『なんですか?』
一体何を言ってくるのか? 罵倒か? 悪口か? 憎まれ口か? それとも宣戦布告とか? 私は色々と考える。けど彼女の形の良い唇発せられた言葉は私のどの予想とも違ってた。
『……手を組みませんか?』